Springbank 10 Year Old
2025.11.15
スモーキーさとフルーティーさの絶妙なバランス
『スプリングバンク10年』は、スコットランド南西部の港町キャンベルタウンにあるスプリングバンク蒸溜所が手がけるシングルモルトウイスキーで、同蒸溜所のフラッグシップとも言える存在です。製麦からボトリングまでの全工程を一貫して自社で行う希少な蒸溜所であり、伝統的なフロアモルティングや2回半蒸溜といった独自の製法を守り続けています。
「スプリングバンク10年」は、バーボン樽原酒60%とシェリー樽原酒40%を使用し、香りと味わいのバランスに優れた一本。香りはグーズベリーやマンゴー、バニラ、コムハニーといったフルーティーで華やかなアロマが広がり、穀物のニュアンスも感じられます。口に含むと、オレンジやモルト、ヘザーハニー、トフィーの甘みにナツメグやシナモンのスパイスがアクセントとなり、フィニッシュには潮気を帯びた海のニュアンスが現れます。
その複雑で奥深い味わいは「モルトの香水」と称されるほどで、ウイスキー愛好家の間でも高い評価を受けています。スモーキーさとフルーティーさが絶妙に調和し、飲むたびに新たな表情を見せてくれる魅力的なウイスキーです。伝統と職人技が詰まった「スプリングバンク10年」は、まさにキャンベルタウンモルトの真髄を味わえる一本と言えるでしょう。
■飲み方あれこれ!!
ストレート:
スプリングバンク10年の複雑で奥深い香味を最もダイレクトに楽しめる飲み方です。洋ナシやバニラ、塩気を帯びたスモーキーな香りが立ち上がり、口に含むとモルトの甘みとスパイスが広がります。余韻には潮風のようなミネラル感が残り、キャンベルタウンモルトの個性を存分に堪能できます。
少量の加水:
ほんの数滴の水を加えることで、アルコールの刺激が和らぎ、隠れていた香りや味わいが開きます。フルーティーなアロマがより鮮明になり、ハチミツやトフィーの甘さ、ナッツのようなコクが顔を出します。バランスの取れた味わいが一層引き立ち、初心者にもおすすめです。
トワイスアップ:
ウイスキーと常温の水を1:1で割ることで、香りと味わいの広がりを穏やかに楽しめます。スプリングバンク特有のオイリーな質感が柔らかくなり、ピートのニュアンスやシェリー樽由来の甘みがまろやかに感じられます。リラックスしたい夜にぴったりの飲み方です。
▶「スプリングバンク蒸留所」のこと
「スプリングバンク蒸留所」は、スコットランド南西部のキンタイア半島に位置する港町キャンベルタウンに1828年に創業された、現存する数少ない伝統的な蒸留所のひとつです。創業者はレイド家で、後に姻戚関係にあったミッチェル家が経営を引き継ぎ、現在もJ&Aミッチェル社によって家族経営が続けられています。キャンベルタウンはかつて「ウイスキーの首都」と呼ばれ、30以上の蒸留所がひしめいていましたが、現在ではスプリングバンクを含む3つの蒸留所のみが稼働しています。
「スプリングバンク蒸留所」の最大の特徴は、ウイスキー造りの全工程を自社で一貫して行っている点です。原料の大麦の製麦から始まり、糖化、発酵、蒸留、熟成、ボトリングに至るまで、すべての作業を敷地内で完結させています。特に「フロアモルティング」と呼ばれる伝統的な製麦方法を今も守り続けており、これは人の手で大麦を床に広げて発芽させる手間のかかる工程です。現在この製法を維持している蒸留所は極めて少なく、「スプリングバンク」はその希少な存在として知られています。
蒸留方法にも独自性があり、「2回半蒸留」という特殊なプロセスを採用しています。これは初留器と再留器を組み合わせて、通常の2回蒸留よりも複雑な香味を生み出す技術で、スプリングバンクのウイスキーに独特のオイリーさと深みを与えています。また、仕込み水にはクロスヒル湖の水を使用し、キャンベルタウン特有の潮気を帯びた風味が加わるのも特徴です。
「スプリングバンク蒸留所」では、3つのブランドを展開しています。「スプリングバンク」はライトピートで複雑な味わいを持ち、「ロングロウ」はヘビリーピーテッドでスモーキーな個性が際立ちます。「ヘーゼルバーン」はノンピートで、繊細で滑らかな味わいが特徴です。これらはすべて異なる蒸留方法と熟成スタイルで造られており、同じ蒸留所から多様な個性のウイスキーが生まれる点も魅力のひとつです。
伝統を守りながらも革新を恐れず、職人の手仕事によって丁寧に造られるスプリングバンクのウイスキーは、世界中のウイスキー愛好家から高い評価を受けています。その香り高さと複雑な味わいから「モルトの香水」とも称され、キャンベルタウンモルトの象徴的存在として、今もなお輝き続けています。
▶「スプリングバンク蒸留所」の歴史(年表)
1828年:
スプリングバンク蒸留所がスコットランド・キャンベルタウンにてレイド家によって創業される。キャンベルタウンは当時、ウイスキー産業が盛んな地域であり、30以上の蒸留所が存在していた。
1837年:
レイド家の姻戚であるジョン・ミッチェルとウィリアム・ミッチェルが蒸留所の所有権を取得。以降、ミッチェル家による家族経営が続くこととなる。
1872年:
ミッチェル兄弟の間で意見の相違が生じ、弟のウィリアム・ミッチェルがスプリングバンクを離れ、近隣にグレンガイル蒸留所を設立。キャンベルタウンにおけるウイスキー造りの多様性が広がる。
1926年〜1933年:
世界的な不況やアメリカの禁酒法の影響を受け、スプリングバンク蒸留所は一時的に操業を停止。キャンベルタウン全体のウイスキー産業も大きな打撃を受ける。
1979年〜1987年:
再び経済的な困難に直面し、蒸留所は約8年間にわたり操業を休止。この期間に多くの蒸留所が閉鎖される中、スプリングバンクは復活への準備を進める。
1987年:
操業を再開。伝統的な製法を守りながら、品質重視のウイスキー造りを再び本格化。フロアモルティングや2回半蒸留など、独自の工程を継承する。
2000年:
休止していたグレンガイル蒸留所がJ&Aミッチェル社によって再建され、キャンベルタウンにおけるウイスキー文化の復興が進む(※)。スプリングバンクとの連携も強化される。
⇒キャンベルタウンにおけるウイスキー文化の復興が進む(※)
〇かつて30以上の蒸留所があったキャンベルタウンは、禁酒法や粗悪品の輸出によって衰退しました。しかしスプリングバンクはその中で生き残り、現在ではグレンガイルやグレンスコシアとともに地域のウイスキー文化を再興。キャンベルタウンモルトのブランド価値を世界的に高める原動力となっています。
Data
蒸留所(親会社):スプリングバンク蒸留所(J&Aミッチェル社)
所在地:キャンベルタウン
URL:https://www.springbank.scot/ (スプリングバンク蒸留所公式サイト)
創業年:1828年
蒸留器: ストレートヘッド型(初×1基、再×2基)
アルコール度数: 46度
容量:700ml
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