リンクウッド12年 UD花と動物シリーズ

Linkwood 12 Years Old

whisky-linkwood

白鳥がシンボルの深く複雑な味わいのスペイサイドモルト

『リンクウッド12年 UD花と動物シリーズ』は、旧UD社時代から続く”花と動物シリーズ”としてリリースされる、リンクウッド蒸留所の最もスタンダードなシングルモルトウイスキー。ラベルには、つがいの白鳥が描かれているが、蒸留所内の冷却水を貯めておく池にはさまざまな鳥が集まり、白鳥も飛来することからリンクウッドのシンボルとなっている。リンクウッド蒸留所では、キルンの上の風見鶏にも倉庫のドアにも白鳥のデザインが使われている。

原酒の樽構成は不明だが、スイートでフルーティな香りが特徴的で、草や花、ミント、バニラ、蜂蜜の香りも感じられる。特に桃のコンポートのような豊かで心地よい甘い香りがあり、加水しても崩れない。フレーバーはインパクトはそれほど強くないが、コクがありゆっくりと甘さが広がり、わずかにピートスモークも感じられる。

滑らかなミディアムボディで、まずはストレートで飲みたい。さらに香りを楽しむために、ごく少量の加水もオススメ。味が崩れることがなく、豊かな風味を楽しむことができる。


・リンクウッド蒸留所のこと

スペイ川の河口から西へ、13kmほど離れたマレイ州の中心地都市エルギン。今でも歴史的な建造物が残され、その町並みは中世にタイムスリップしたかのような雰囲気が漂う。人口約2.5万の県庁所在地で、古くからウイスキーや羊毛産業、商業で栄えた。町の周囲には10を超える数の蒸留所が存在する。インディペンデントボトラーで知られるゴードン&マクファイル社の本拠地でもあり、スペイサイドを代表するウイスキータウンといえる。

リンクウッド蒸留所

気候は比較的穏やかなで、夏は涼しく冬温かい極端な寒暖差は少ない。スペイサイドは大麦の生産地であり、製麦に必要な泥炭(ピート)も豊富で、ウイスキー造りに最適な土地といえる。リンクウッド蒸留所は、そのエルギンの町から2㎞ほど南東に行ったロッシ-川のほとりに建つ。

創業は1821年。土地の名家ブラウン家のピーター・ブラウンによって設立された。正式には、3年後の1824年からポットスチル2基(初×1、再×1)でウイスキー造りが始められた。ブラウン家はフィンドレーター伯爵の不動産業務を委託されていた家系で、ピーターはエルギン地区の農業改良委員も務めていたといわれている土地の名士でもあった。

「リンクウッド」とは、かつてエルギンのシ―フィールド領にあった、貴族の邸宅の名前から付けられたといわれる。1868年にピーターの没後、蒸留所は息子のウィリアムに引き継がれた。1874年には創業時の蒸留所が取り壊され、新たな蒸留所を建設。 1897年、蒸留所の管理会社としてリンクウッド・グレンリベットディスティラリー社が創設された。

しばらくはブラウン家も経営に関わっていたが、1932年にSMD(スコティッシュ・モルト・ディスティラリー)社に引き継がれた。その後1936年にはSMD社は合併によりDCL(ディスティラーズ・カンパニー・リミテッド)社となり、蒸留所はその傘下となった。その際の買収金額は8万ポンド、当時の日本円に換算すると約6億円という破格の値段だった。1941年、第二次世界大戦により原料の麦芽が入手困難となり、約4年間蒸留所の閉鎖を余儀なくされた。

蒸留所が再開された1945年には、マネージャーとして北部ロス州出身のロデリック・マッケンジー(在任期間1945~63年)が就任した。マッケンジーは、話す言葉はネイティブのゲール語だけで、周囲とまったく合わせようともしない頑固な一徹者としてとして知られていた人だった。リンクウッド蒸留所では、現在でもウイスキー造りに関して細心の注意が払われているが、その伝統はこのマッケンジーの時代に培われたのかも知れない。ウイスキーの味わいに影響を及ぼす恐れのあるものは全て嫌い、スチルハウス内のクモの巣を払うのさえ許さなかったという。

1971年には拡張工事が行われ、古い蒸留棟の向かい側に新しい蒸留所を建設された。その際に、新蒸留棟に追加で設置されたポットスチルの形状は、オリジナルの凹凸まで同じになるように注文されたという。古い方の蒸留棟を「リンクウッドA」、新しい方を「リンクウッドB」と呼び、Aには2基のポットスチル、Bには4基が配置されている。リンクウッドAのポットスチルには鋳鉄製のワームタブ(蒸留によって気化したアルコールを冷却し液化させる装置)、リンクウッドBにはシェル&チューブのコンデンサーが冷却装置として使われていた。

1985年にリンクウッドAは一旦閉鎖、翌年DCL社は合併によってUD(ユナイテッド・ディスティラリーズ)社となる。1990年からはリンクウッドAで僅かだけだが蒸留が再開し、1996年まで続けられたがその後取り壊された。1997年にUD社が合併によってディアジオ社となり、リンクウッド蒸留所は現在に至るまでその傘下となっている。2012年にはさらに拡張工事を実施。リンクウッドBには新たに2基のポットスチルが増設され計6基(初×3、再×3)となり、さらに6つの新しいウォッシュバックを追加し現在の体制となっている。

仕込みは現在ワンバッチ麦芽12.5トン。現在リンクウッド蒸留所では自社製麦を行っておらず、ディアジオ社のモルトスターからノンピートのものからピーテッドまで、さまざまなタイプの麦芽を仕入れ使い分けている。仕込み水はミルビュイズ湖の近くにある泉の水を使い、マッシュタン(糖化槽)は巨大なステンレス製のフルロイタータン。ウォッシュバック(発酵槽)はカラ松製が計11基(30,000リットル×6基、60,000リットル×5基)。木製のウォッシュバックは管理が難しいが、その反面、常在細菌による影響によりその蒸留所独自の香味が生まれるといわれる。花や草のようなフローラルな芳香がする、リンクウッドのウイスキーの一役を担っている。

発酵に用いる酵母は、リキッドタイプのディスティラーズイースト。発酵はショートとロングがあり、それぞれ65時間と105時間に設定されている。リンクウッド蒸留所では、ストレートヘッド型のウォッシュスチル(初溜釜:15,000リットル)が3基と、スピリッツスチル(再溜釜:17,000リットル)3基を設置。スピリットスチルがウォッシュスチルよりも大きいのは珍しく、これによりニューポットが銅に触れる面積が大きくなり、不快な香味が除去されるためよりクリーンなモルトになるといわれる。加熱は蒸気による間接加熱方式。冷却装置は、元から設置されているスチルにはシェル&チューブ方式(多管式)が,2012年に増設されたスチルには伝統的なワームタブ方式(蛇管式)が採用されている。

ニューポットは加水によりアルコール度数63.5%に調整すると樽詰めされ、熟成庫(ウェアハウス)へと運ばれる。熟成に使用される樽は、アメリカンオークのバーボン樽や、スペインのワイン生産者より仕入れたスパニッシュオークのシェリー樽を組み合わせて使用している。ウェアハウスは伝統的なダンネージ式と、近代的で貯蔵容量に優れたラック式のウェアハウスが併設されている。リンクウッドは99%がブレンド用で、大部分が「ジョニーウォーカー」や「ホワイトホース」といったブレンデッド・ウイスキーの重要なキーモルトとなるため、市場に出回ることは少ない。そのため知名度こそないが、ブレンダーの間では昔からトップドレッシングとして高い評価を得ていた。

 

Data

所有者:ディアジオ社

所在地:Elgin,Morayshire

URL:

創業年:1821年

蒸留器:ストレートネック型(初×3基、再×3基)

アルコール度数:43度

容量:700ml

 

 

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