Bowmore 12 Years Old
アイラモルトの魅力を凝縮した一本
『ボウモア12年』は、アイラモルトの魅力を知るには、絶好といえるシングルモルト。スモーキー、キャラメル、海草(ワカメ)、ゴーダチーズや干し柿のようなアロマ。潮風や波しぶき、海藻といった海のニュアンスもあり、トロリとした舌ざわりで、カルピスのような乳酸ぽさ、クリーム、麦芽のアロマがひろがる。ピーティで複雑だが、加水することで華やかな香りとなる。
・ボウモア蒸留所のこと
ボウモア蒸留所の創設は、1779年。創始者は地元の農民デイビッド・シンプソンで、アイラ島最古の蒸留所である。蒸留所は、アイラ島の中央、インダール湾に面したボウモアの街の小さな港に位置している。第二次大戦中には、飛行艇の訓練基地として利用されていた。
ボウモアとはゲール語で「大きな岩礁」、あるいは「大きな湾」の意味。熟成庫は海岸に面し、強風が吹く日には波しぶきが屋根の上まで飛び散ることがあり、海面よりも低い位置になることもあり、蒸留所内は潮の香りに満ちている。1994年まではモリソン・ボウモア社の所有だったが、同年7月にサントリーが買収し、現在まで同社が所有している。
仕込み水には、ピート色の濃い蒸留所近くを流れるラガン川の良質な軟水を使用。ラガン川はアイラ島最大の川で、島の最高峰ベンビカール山(標高491m)の麓から流れ出る。また、現在でもフロアモルティング(※)を行う数少ない蒸留所の一つで、全体の40%ほどをまかなっている。
マッシュタン(糖化槽)はステンレス製、発酵槽にはオレゴンパイン材の木桶、蒸留は小型のストレートヘッド型のポットスチルを使用。ニューポット(蒸留したての原酒のこと)はオーク樽(主にホワイトオークのバーボン樽70%と、スパニッシュオークのシェリー樽30%)に詰められ熟成される。その他にも、ボルドーとマディラのワイン樽、ジャパニーズオークであるミズナラ樽などでも貯蔵熟成を行っている。貯蔵は3棟あり、中でも特長的なのが第1貯蔵庫。スコッチ・モルトウイスキー蒸留所で最も古い歴史を持ち、海に直に面した海抜0mに位置している。
ピート香はアイラモルトの中では中位で、スモーキーさの中に、海の香りやどこか華やかな花の香りが絶妙なバランスで混ざり合う。ビジターセンターや売店も充実していて、蒸留廃液(スペントウォッシュ、スペントリース)の高熱を二次利用した温水プールをつくり、島民の福祉に役立ている。
フロアモルティング(※)とは?
フロアモルティング(floor malting)とは、大麦麦芽を水に浸したあとに、コンクリートの床に広げて発芽を促す工程をいう。
発芽がムラなく行われるように、一定の間隔で発芽をシャベルですき返す手間のかかる作業である。大量生産できないため最近では、麦芽製造専門の業者(モルトスター)に外注するのが一般的となっているが、ザ・バルヴェニー蒸留所やボウモア蒸留所などのように伝統製法を守ることこだわる蒸留所もある。
Data
所有者:モリソン・ボウモア社
所在地:Bowmore,Islay
URL:https://www.suntory.co.jp/whisky/bowmore/ (サントリー公式HP)
創業年:1779年
蒸留器:ストレートネック型
アルコール度数:40度
容量:700ml
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