Ardbeg Uigeadail
2025.08.21

スモークと甘みが織りなす神秘の一杯
『アードベッグ ウーガダール』は、スコットランド・アイラ島にあるアードベッグ蒸留所が誇る、力強くも複雑なシングルモルトウイスキーです。アイラモルト特有のスモーキーさとピート香をしっかりと備えながら、シェリー樽熟成による甘みと深みが加わることで、他のアードベッグとは一線を画す重層的な味わいを実現しています。
「ウーガダール」という名は、蒸留所の水源であるウーガダール湖に由来し、ゲール語で「暗くて神秘的な場所」を意味します。その名の通り、このウイスキーは力強さの中に神秘的な甘さと余韻を秘めており、飲むたびに新たな表情を見せてくれます。香りはスモーク、レーズン、ダークチョコレート、スパイスが複雑に絡み合い、口に含むとオイリーで濃厚なテクスチャーが広がります。余韻は長く、ピートの残響とともに甘みが静かに消えていく感覚が印象的です。
製法にもこだわりがあり、ノンチルフィルター(非冷却ろ過)を採用することで、ウイスキー本来の旨味や香味成分を損なうことなく瓶詰めされています。また、カスクストレングス(約54.2%)で提供されるため、加水せずに樽出しそのままの力強さを楽しめるのも魅力のひとつです。ストレートで飲めばその濃厚さを堪能でき、少量の加水で香りが開き、より繊細なニュアンスを感じることもできます。
「アードベッグ ウーガダール」は、アイラモルトの愛好家はもちろん、シェリー樽の甘みや複雑な味わいを求めるウイスキー通にも高く評価されており、世界中のバーやコレクターの間で根強い人気を誇ります。夜の静かな時間に、じっくりと向き合いたくなる一本。荒々しさと優雅さが共存する、まさに“飲む物語”とも言えるウイスキーです。
■飲み方あれこれ!!
〇アードベッグ ウーガダールは、力強いピート香とシェリー樽由来の甘みが絶妙に融合した一本で、飲み方によってその表情が大きく変わります。
ストレート(常温):
最もウーガダールらしさを感じられる飲み方。ピート香、スモーク、ドライフルーツ、スパイスの複雑な層がダイレクトに広がります。グラスはグレンケアン型がおすすめ。香りの立ち上がりが美しく、余韻まで楽しめます。
少量加水:
数滴の水を加えることで、アルコールの刺激が和らぎ、香りが開いてより繊細なニュアンスが現れます。シェリー樽由来の甘みやスパイス感が際立ち、バランスの良さが際立ちます。
ロック:
ピートの力強さがやや抑えられ、飲みやすくなる一方で、香味の変化を楽しめます。氷が溶けるにつれて、味わいが徐々に変化するのも魅力のひとつ。
▶アードベッグ蒸留所のこと
「アードベッグ蒸留所」は、1815年にスコットランド・アイラ島南部でジョン・マクドゥーガルによって創業されました。ゲール語で「小さな岬」を意味する「Ardbeg」の名の通り、海沿いの岬に建てられたこの蒸留所は、潮風と豊富なピートに囲まれた環境の中で、極めて個性的なウイスキーを生み出してきました。
創業以前からこの地では密造酒の文化が根強く、1794年にはすでに蒸留活動が行われていた記録もあります。19世紀後半にはアイラ島最大の蒸留所として年間120万リットルを生産し、ブレンデッドウイスキーの原酒としても高い評価を得ていました。しかし、1970年代以降はウイスキー不況の影響を受け、1981年には一時操業停止。1990年代にはわずか数ヶ月のみ稼働する状態が続き、1995年には再び閉鎖されます。
転機となったのは1997年。グレンモーレンジィ社による買収によって蒸留所は再建され、シングルモルト専用の蒸留所として新たなスタートを切ります。その後、グレンモーレンジィ社は2004年にモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)傘下となり、「アードベッグ」はラグジュアリーブランドの一員として世界的な展開を加速させました。
ウイスキー造りの特徴として、「アードベッグ」はアイラ島の中でも特にピート香が強いことで知られています。フェノール値は55〜65ppmと非常に高く、これはスモーキーさの指標として業界でも突出した数値です。原料にはポートエレン製麦所から供給されるロリエット種の麦芽を使用し、1921年製のロバート・ボビー社製ローラーミルで粉砕。仕込み水には蒸留所背後のウーガダール湖の水を使用し、潮風とピートが染み込んだ独特の風味を形成します。
糖化・発酵・蒸留の工程では、伝統的な木製の発酵槽(オレゴンパイン製)を使用し、蒸留器は初留器・再留器ともに2基ずつ。ノンチルフィルター製法を採用することで、ウイスキー本来の旨味や香味成分を損なわずに瓶詰めされます。すべての原酒は自社のシングルモルトとしてボトリングされ、他社への供給は一切行っていません。
現在では「アードベッグ10年」「ウーガダール」「コリーヴレッカン」などの人気商品を展開し、世界中に熱狂的なファン「アードベギャン」を持つブランドへと成長。荒々しさと繊細さが共存するその味わいは、まさにアイラの自然と人の技が織りなす芸術品です。
▶「アードベッグ蒸留所」の歴史(年表)
1794年以前:
アイラ島南部で密造酒の蒸留が行われていたとされる。
1798年:
ダンカン・マクドゥーガルが農地で穀物を使った密造を開始。
1815年:
ジョン・マクドゥーガルが正式なライセンスを取得し、アードベッグ蒸留所を創設。
1838年:
グラスゴーの商人トーマス・ブキャナンが蒸留所を買収し、マクドゥーガル家が運営を継続。
1853年:
ジョンの死後、姉妹のマーガレットとフローラが運営を引き継ぎ、スコットランド初の女性蒸留業者(※)となる。
1885年:
アイラ島最大の蒸留所となり、年間生産量は約120万リットルに達する。
1922年:
マクドゥーガル家が蒸留所を£19,000で買い戻す。
1973年:
カナダのハイラム・ウォーカー社とDCL社が共同で蒸留所を買収。
1977年:
ハイラム・ウォーカー社が単独所有となり、マクドゥーガル家の経営が終了。
1981年:
ウイスキー業界の不況により操業停止。
1989年:
アライド社のもとで操業再開。ただし短期間のみ稼働。
1995年:
再び操業停止。
1997年:
グレンモーレンジィ社が買収し、操業を本格的に再開。
2002年:
スコットランド観光局により4つ星観光名所に認定される。
2004年:
グレンモーレンジィ社がモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)に買収される。
2008年:
「アードベッグ10年」がワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤーを受賞(※2)。
2018年:
生産能力を倍増する工事を開始し、年間240万リットル体制へ。
2021年:
新たな蒸留棟が完成し、設備が近代化される。
2023年:
他社への原酒供給を停止し、すべて自社ブランドでボトリングを行う方針に転換。
■スコットランド初の女性蒸留業者(※)
〇1853年、ジョン・マクドゥーガルの死後、姉妹のマーガレットとフローラが蒸留所の運営を引き継ぎました。彼女たちはスコットランドで初めてウイスキー蒸留を担った女性とされ、業界史に残る存在です。
■「アードベッグ10年」がワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤーを受賞(※2)
〇2000年に発売された「アードベッグ10年」は、その強烈なピート香とスモーキーさで世界中のウイスキーファンを魅了。2008年には「ワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、ブランドの象徴となりました。
Data
蒸留所:アードベッグ蒸留所( LVMH:モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)
所在地:Port Ellen,Islay
URL:https://www.ardbegjapan.com/ (日本語オフィシャルサイト)
創業年:1815年
蒸留器:ランタン型
アルコール度数:54.2度(カスクストレングス)
容量:700ml
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