クライヌリッシュ14年

Clynelish 14 Year Old

2026.05.26

whisky-clynelish

蜂蜜の甘みと潮風が織りなす奥深いハーモニー

『クライヌリッシュ14年』は、ハイランド北部の海沿いに建つクライヌリッシュ蒸留所が生み出す、ワックスのような独特の質感とエレガントな香味で知られるシングルモルトです。その個性は“ワクシー(蝋のような)”と形容され、世界中の愛好家から高い評価を受けています。

「クライヌリッシュ14年」は、まず香りにハチミツや熟した洋梨、リンゴのようなフルーティーさが広がり、そこに軽やかな潮風のニュアンスが重なります。海に近い立地がもたらす塩気が、甘やかな香りを引き締め、クライヌリッシュらしい爽やかな印象を形づくっています。

口に含むと、オイリーで滑らかな口当たりが特徴的で、ワックスを思わせる質感がしっかりと感じられます。味わいはバニラやトフィーの甘さに、柑橘の皮のようなほろ苦さ、そしてほのかなスパイスが調和し、複雑で奥行きのある構成を生み出します。甘味と塩気、フルーツとスパイスが絶妙に絡み合うことで、飲み飽きない深みが生まれています。

フィニッシュは長く、心地よいスパイスとほのかな塩気が続き、最後にワクシーな余韻が静かに残ります。この余韻こそがクライヌリッシュ14年の最大の魅力であり、他のハイランドモルトとは一線を画す個性を際立たせています。

「クライヌリッシュ14年」は、華やかさと上品さ、そして海風のニュアンスを併せ持つ、バランスに優れた一本です。シングルモルトの奥深さをじっくり味わいたい人にふさわしいウイスキーです。

■飲み方あれこれ!!

ストレート:

ワクシーな質感とフルーティーな香りが最もはっきりと感じられ、クライヌリッシュ14年らしい上品さが際立つ。潮のニュアンスが甘さを引き締め、複雑で奥行きのある味わいが長く続く。

トワイスアップ(少量加水):

数滴の水で香りが一気に開き、洋梨やリンゴのフルーツ感がより鮮明になる。ワクシーな質感はそのままに、口当たりが柔らかくなり、甘味とほろ苦さのバランスが整う。

ロック:

冷却によって甘さが引き締まり、柑橘の皮のようなビター感とスパイスが際立つ。氷が溶けるにつれてワクシーな余韻がゆっくりと現れ、味わいの変化を楽しめる。

 

▶「クライヌリッシュ蒸留所」のこと

「クライヌリッシュ蒸留所」(※)は1819年、後にサザーランド公となるジョージ・グランヴィル・レヴィソン=ゴワーによって創設された。蒸留所の成り立ちは、19世紀初頭に起きた「ハイランド・クリアランス」(※2)と深く結びついており、当時の地主が農民を強制移住させた歴史的背景の中で、彼らを労働力とする事業の一つとして蒸留所が設立されたとされる。初期のクライヌリッシュは必ずしも順調ではなかったが、1896年にブレンダーのエインズリー&ヘイルブロン社(スコットランドのブレンディング会社・ボトラー)とジョン・リスク氏が買収したことで評価が高まり、1912年にはジョン・リスク氏が単独所有者となり、品質向上が進んだ。

⇒「クライヌリッシュ蒸留所」(※)

〇「クライヌリッシュ(Clynelish)」という名前には明確な語源がなく、“金色の湿地”を意味するという説や、“果樹園の草地”を意味するゲール語が由来という説など、複数の解釈が存在する。蒸留所の神秘性を象徴するエピソードのひとつである。

⇒「ハイランド・クリアランス」(※)

〇クライヌリッシュ蒸留所は、1819年にサザーランド公爵によって創設されたが、その背景には「ハイランド・クリアランス」と呼ばれる強制移住政策がある。地主が羊の放牧で利益を得るため、小作農を土地から追い出した時代であり、公爵はブローラの町に炭鉱や織物工場と並んで蒸留所を設立した。蒸留所の誕生は、地域の厳しい歴史と深く結びついている。

1967年には需要増に応えるため、旧蒸留所に隣接して新しい設備が建設され、現在の「クライヌリッシュ蒸留所」の基盤が整えられた。翌1968年には旧蒸留所が再稼働し、「ブローラ」と改名してピートの効いた原酒を生産、1983年に閉鎖されるまで独自の存在感を放った。新旧2つの蒸留所が並行して稼働した時期もあり、ブレンデッドウイスキー需要に応えるための重要な役割を担っていた。

「クライヌリッシュ」の最大の特徴は、他の蒸留所ではほとんど見られなくなった“ワクシー(蝋のような)”な酒質にある。この個性は、清澄度の高い麦汁、長い発酵、銅との接触を最大化する蒸留設計、そしてフェイントレシーバーに自然沈殿する油分の扱いによって生み出される。通常なら清掃で除去される沈殿物を、「クライヌリッシュ」では意図的に戻すことで、厚みのある口当たりと柑橘油のような香味、わずかなミネラル感を伴う独特のテクスチャーを形成している。

また、海に近い立地とミネラル豊富な水源が、ほのかな潮気や海藻のニュアンスをもたらし、フルーティさとオイリーさが共存する複雑な味わいを支えている。蒸留所は現在も「ディアジオ社」の主要モルト供給源として重要な位置を占めており、2016年の大規模改修では、このワクシーな個性を守るための「ワクシー・プロジェクト(Waxy Project)」(※3)が実施され、伝統的な酒質を損なわないよう細心の注意が払われた。

⇒「ワクシー・プロジェクト(Waxy Project)」(※3)

〇「ワクシー・プロジェクト(Waxy Project)」は、スコットランド北ハイランドのクライヌリッシュ蒸留所で行われた大規模改修(2016年)に伴う品質維持プロジェクトです。 クライヌリッシュは世界的に珍しいワクシーなオイリー感を持つモルトとして知られていますが、この個性は発酵・蒸留・設備条件の微妙な組み合わせによって生まれるため、設備更新によって失われるリスクがありました。 そこでディアジオは、蒸留所の改修期間中に専門チームを投入し、ワクシーな質感を再現・維持するための工程研究と調整を徹底的に行ったのです。 これが “Waxy Project” と呼ばれています。

こうした歴史と技術の積み重ねにより、クライヌリッシュ蒸留所はハイランドでも特異な存在となり、現代においても唯一無二の個性を持つシングルモルトを生み出し続けている。

▶「クライヌリッシュ蒸留所」の歴史(年表)

1819年:

スタッフォード侯爵(後のサザーランド公)によって、現在のブローラに初代クライヌリッシュ蒸留所が建設された。

1820〜1822年:

創業初期の生産が本格化し、年間約12,000ガロン(約54,000リットル)を製造していた。

1896〜1898年:

需要増加に伴い蒸留所が拡張され、生産量は約58万リットルへと増加。倉庫の増設も行われた。

1930年:

蒸留所がDCL(現「ディアジオ」)の前身組織に買収され、企業体制のもとで運営されるようになった。

1967年:

需要拡大に対応するため、旧蒸留所に隣接して新しいクライヌリッシュ蒸留所(現行設備)が建設された。

1968年:

旧蒸留所が一時的に再稼働し、後に「ブローラ」として知られるピーテッドウイスキーの生産が始まる準備が進められた。

1969年:

旧蒸留所が正式に「ブローラ蒸留所」として再開し、強いピート香のウイスキーを生産開始。ブレンデッド用の供給を担った。

1970年代前半:

ブローラはフェノール値30〜45ppmのヘビーピーテッド原酒を製造し、ジョニーウォーカーなどのブレンド需要を支えた。

1983年:

業界不況の影響でブローラ蒸留所が閉鎖され、クライヌリッシュのみが稼働を継続した。

2016年:

クライヌリッシュ蒸留所が大規模改修を実施。伝統的なワクシーな質感を守るため「Waxy Project」が進められた。

2021年:

クライヌリッシュのビジターセンターが刷新され、同時期にブローラ蒸留所も復活。歴史的な姉妹蒸留所として再び注目を集めた。

Data

蒸留所:クライヌリッシュ蒸留所(ディアジオ社)

所在地:Brora, Sutherland, Scotland, UK

URL:https://www.malts.com/en-gb/distilleries/clynelish

創業年:1819年

蒸留器:初×3基、再×3基 ※ランタン型(上部にショルダー(肩)があるランタンシェイプで、 比較的背が高く、ラインアームはやや上向き)

アルコール度数:46%

容量:700ml(瓶)

 

 

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