The Macallan 12 Years Old
シェリーオークの芳醇な香り心を揺さぶる一杯
『ザ・マッカラン12年 シェリーオーク』は、華やかでラグジュアリーなマッカランらしさを味わえる、シェリーオークシリーズのスタンダード品。シェリー樽のみで、最低12年以上熟成させた原酒のみを使用。色は優雅な金色で、重厚なシェリー樽由来の味わいとフルーティーな甘い香りが特徴。バニラやキャラメルのような甘さの中に、ほんのりとジンジャーのようなテイストも感じられ、そのバランスが絶妙なシングルモルトである。余韻にはトフィーの甘さやドライフルーツ、ウッドスモーク、スパイスが感じられる。
まずはシンプルにストレートやロックで飲むのがオススメ。華やかな香りやドライフルーツを想わせるような甘味が感じられるため、ハイボールやトワイスアップ(常温の水で1:1の比率で割る)にしても、「ザ・マッカラン」らしい風味を楽しむことができる。
・ザ・マッカラン蒸留所のこと
マッカラン蒸留所は、英国一の急流として知られるスペイ川中流、クレイゲラキ村の対岸に位置している。スペイ川の中流域は、かつて密造時代から多くの蒸留所が栄えた土地。スペイ川の渡し(フォード)として古くから人が往来し、南部に家畜を運ぶ牛飼いたちからマッカランは親しまれてきた。
「マッカラン(Macallan)」とはゲール語で「聖フィランの野原」という意味。「Magh(肥沃な土地)」と「Ellan(アイルランド人の牧師である聖フィラン)」の二つの単語を掛け合わせたものといわれている。現在でも、15の蒸留所が操業しているこの地域は、ウイスキー産業の中心地である。
蒸留所の近くには、1700年にジョン・グラント大佐によって建てられた「イースターエルキーハウス」という美しい館がある。1960年代にマッカラン家により購入されたが、その当時は蒸留所としては使用できない状態だった。取り壊しの検討もされたが、多額の投資を払って再建された。「イースターエルキーハウス」からは、スペイ川を挟んでベンリネス山の美しい景観が広がる。
この館は「ザ・マッカラン」の伝統とおもてなしの精神を受け継ぎ、蒸留所で働く人たちの心の拠り所にもなっている。イラストとしてボトルやふたにも描かれていて、試飲会などのイベントも行われている。1985年には、「イースターエルキーハウス」の一般公開が開始され、2005年にはゲスト用宿泊施設が設けられ、ウイスキー愛好家をもてなす施設として活用されている。マッカラン蒸留所は、この館の敷地内に建てられている。
マッカランは、英国有数の老舗百貨店「ハロッズ」が出していた『ウイスキー読本』で、「シングルモルトのロールスロイス」と絶賛されていた。ブレンダーの間でも評価が高く、古くから最高のトップドレッシングと言われてきた。1970年代からはシングルモルトの販売にも力を注ぎ、「グレンフィディック」、「ザ・グレンリベット」に次ぐ世界第3位の売上を誇る。日本では約20年近く輸入シングルモルトの第1位をキープしている。
ザ・マッカラン蒸留所の歴史は古く、18世紀後半には創業者一族の領地で収穫した大麦を使用して、モルトウイスキーを製造していたとされている。正式な創業は1824年。アレクサンダー・リードが蒸留所のライセンスを獲得し、スペイサイドで「ザ・グレンリベット」に次ぐ政府公認第2号の蒸留所となった。
1847年、創業者リードの死後ジェームズ・シアラーとジェームズ・デビットソンに引き継がれ、1868年にはジェームズ・スチュアート&Co社が蒸留所のリースを獲得し再建を行った。1892年には、エルギンの酒商・ロデリック・ケンプが蒸留所を買収。1909年にケンプが亡くなると、ロデリック・ケンプトラスト社が設立され、ケンプ家が一貫してウイスキー造りに関わることとなった。
1914年、第一次世界大戦が勃発し、「ケンプ・トラスト」のマネジングパートナー兼管財人を務めていた、アレクサンダー・ハービンソン博士が蒸留所の指揮を取った。「ケンプ・トラスト」とは、ロデリック・ケンプの死後、一家のリーダーシップと精神をマッカランに注ぎ続けるために設立された組織である。これにより戦時中でも操業を維持し、品質を落とすことなくウイスキー造りを継続することができた。
1939年、第二次世界大戦が宣戦布告されると、ウイスキーを取り巻く状況がさらに悪化する。政府はアルコールの蒸留に使われる大麦在庫を国民への食糧供給に回し、ウイスキーの生産と販売を規制した。1940年からは、ウイスキーそのものの蒸留も法的に禁止され、これは1944年の終わり頃まで続いた。そんな状況下でもザ・マッカランは生き残りを模索し、高いクオリティを維持するための努力を惜しまなかった。
1965年には7基のポットスチルを備えた新たなスチルハウスを建設。これでスチルの数は計12基となった。1974年には計18基、1975年にはさらに増設されて計21基体制となった。1986年、日本のサントリーグループ社が蒸留所の株式の25%を買収。1996年にはハイランドディスティラーズ社が残りの株式を取得する。1999年にはハイランドディスティラーズ社が、エドリントングループ社とウィリアムグラント&サンズ社に買収されるが、現在はエドリントングループの所有となっている。
2012年、エドリントングループ社が蒸留所のリニューアル計画を発表。2014年にロンドンの建築家集団「ロジャー・スターク・ハーバー・パートナーズ社(RSHP社)」が設計コンペで選ばれ、蒸留所リニューアルプロジェクトが始動する。2018年、約3年6ヶ月の歳月を経て新たなマッカラン蒸留所が5月に完成、グランドオープンとなる。RSHP社のデザインは、スペイサイドの風景に着想を得た波打つ屋根や天然の芝が特徴的で、総工費は1億4000万ポンド(約210億円)にものぼった。新しい蒸留所には、計36基の新しいポットスチルが並んでいる。
ザ・マッカラン蒸留所の仕込みは、1バッチあたり17トンと巨大である。使われる麦芽は、ゴールデンプロミス種を使っていた時期もあったが、現在はコンチェルト大麦を主体に、独自のモメンタムという品種の大麦も一部採用してる。製麦はモルトスター(製麦専門業者)のシンプソンズ社に外部委託しており、仕込み水は蒸留所の近くを流れるスペイ川の伏流水を使用している。
マッシュタン(糖化槽)はブリッグス社製のステンレス製フルロイタータン、ウォッシュバック(発酵槽)はステンレス製のものが12基設置されている。発酵にはリキッドタイプのディスティラリー酵母を使用。
スペイサイドで最小のポットスチル(蒸留釜:フォーサイス社製)を持ち、初溜1基に対して再溜2基の伝統的なシステム(初溜:1万3000リットル×12基、再溜:3900リットル×24基)を採用している。形状は全てストレート型であり、加熱方式は蒸気による間接加熱方式、冷却方式はシェル&チューブ方式を採用している。これらのスチルは形状が一つ一つ異なるが、旧蒸留所のものと同じ寸法・形状が忠実に再現されている。
小型のスチルはコストがかかるが、アルコールの移動距離が短いので、密度の高い複雑でリッチな蒸留液が抽出できる。旧蒸留所の時代には年間1100万リットルの生産能力があったが、新蒸留所では約1500万リットルに拡大した。スチルは12基ずつ(初溜×4基、再溜×8基)が円形に配置されたものが3セット並ぶ。
蒸留により抽出されたスピリッツは、熟練の職人がテイスティングし、良質な原酒のみを厳選、蒸留されたスピリッツの16%しか使用していない。ウェアハウスは54棟あり、貯蔵方法は近代的なラック式が主となっている。
「ザ・マッカラン」の、味わいへの最大のこだわりは樽にある。そのため、樽をつくる原材料の調達から加工や乾燥に至るまで、すべての工程に手間暇を惜しまない。ウイスキーの最終的な色味と味わいの8割は樽の品質によるため、上質なオーク樽は欠かせない要素である。熟成には「スパニッシュオークのシェリー樽」、その他にも「アメリカンオークのシェリー樽」や「バーボン樽」も使用している。
主に使われるのはオロロソシェリー樽で、自社が管理する森林で育てたオーク(北スペイン・ガリシア地方のスパニッシュオーク)から使用する木を選定、1年間天日乾燥させる。その後、乾燥させた木をスペイン南部のシェリー酒の産地ヘレスに運び、再び1年の天日乾燥を行う。空気乾燥は長い期間がかかるが、ウイスキーの熟成に必要な木独特の特徴を引き出すことができる。合計2年の天日乾燥後、製樽会社に依頼してマッカラン仕様の樽を製造する。新樽を作ると、スペインのシェリー酒業者ボデガ社に無料で貸し出し、2~3年のシーズニング後にスペイサイドに持ち帰り、ニュースピリッツを詰める。
樽を作る工程には約6年の歳月がかかり、シェリー樽に費やす費用は年間数十億円にも及ぶ。シェリー樽はファーストフィルとセカンドフィルのみを使用。徹底してシェリー樽にこだわるのはマッカランだけである。こうして出来上がったウイスキーは着色料を使用せず、樽由来のナチュラルで美しい色合いとなっている。
Data
所有者:ジ・エドリントン・グループ社
所在地:Craigellachie,Banffshire
URL:https://www.suntory.co.jp/whisky/macallan/about/ (サントリー公式HP)
創業年:1824年
蒸留器:ストレートネック型(初溜×12基、再溜×24基)
アルコール度数:40度
容量:700ml
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