「中国醸造株式会社」は、1918年（大正7年）に広島県廿日市市で創業された老舗の酒造メーカーです。創業当初は、清酒の製造に必要な醸造用アルコールの供給を目的として設立されましたが、時代の変化とともに事業を拡大し、焼酎、日本酒、リキュール、ウイスキーなど多彩な酒類を手がける総合酒造企業へと成長しました。現在では、国内外に向けて幅広い商品展開を行い、地域の伝統と革新を融合させた酒造りで高い評価を得ています。

焼酎造りにおいて「中国醸造株式会社」が持つ最大の特徴は、伝統的な技術と現代的な設備の融合です。特に「達磨焼酎」シリーズは、同社を代表するブランドとして知られており、麦焼酎や芋焼酎など、原料の個性を最大限に引き出す製法が採用されています。黒麹や白麹を使い分けることで、香りや味わいに深みと広がりを持たせ、飲みやすさと本格的な風味を両立させています。

また、同社は焼酎の熟成にもこだわりを持っており、広島県安芸太田町にある旧国鉄の試掘トンネル跡を活用した「戸河内蔵置所」で貯蔵・熟成を行っています。このトンネルは年間を通して温度と湿度が安定しており、焼酎の熟成に理想的な環境を提供しています。こうした自然の力を活かした貯蔵技術は、焼酎にまろやかさと奥行きを与え、他にはない味わいを生み出しています。

さらに、「中国醸造株式会社」は常に新しい挑戦を続ける企業文化を持ち、1967年には世界初の紙容器入り清酒「はこさけ一代」を発売するなど、業界に先駆けた取り組みでも知られています。焼酎においても、消費者の嗜好に合わせた商品開発を積極的に行い、伝統を守りながらも革新を追求する姿勢が、長年にわたって多くのファンを魅了してきました。

このように、「中国醸造株式会社」は、地域に根ざした酒造りと先進的な技術の融合によって、焼酎文化の発展に貢献し続けている企業です。伝統を大切にしながらも、常に新しい価値を創造するその姿勢は、今後も多くの人々に愛される酒造りの礎となるでしょう。