きのえね じゅんまいしゅ
2026.05.18
毎日の食卓に自然と馴染む親しみやすい味わい
『甲子 純米 やわらか 地の恵』は、千葉県酒々井町に蔵を構える「飯沼本家」が醸す、米の旨みを素直に引き出したやわらかな味わいの純米酒。蔵の代表銘柄である「甲子(きのえね)」シリーズの中でも、最もベーシックで食中酒としての完成度が高い一本として知られている。原料米の持つ自然な甘みと旨みを大切にし、過度な香りを付けず、飲み飽きしない味わいを目指して造られている点が特徴である。
口に含むと、まず米由来のふくよかな香りが穏やかに立ち上がり、続いてやさしい甘みと柔らかな旨みが広がる。酸味は控えめで、全体として丸みのある味わいが印象的だ。後味はすっきりとキレがあり、食事の邪魔をしない軽快さを持ちながら、純米酒らしい厚みも感じられる。冷やしても常温でも楽しめるが、温度が上がるにつれて旨みがよりふくらみ、米の味わいが一層際立つ。
「甲子 純米 やわらか 地の恵」は、蔵が掲げる“食卓に寄り添う酒”という理念を体現した一本であり、和食はもちろん、洋食や中華など幅広い料理と合わせやすい。特に、素材の味を生かした料理や、出汁を使った優しい味わいの料理と相性が良く、日常の食卓に自然と馴染む懐の深さを持っている。派手さはないが、飲むほどに良さが伝わる、まさに“毎日飲める純米酒”として多くの人に愛されている。
全体として、「甲子 純米 やわらか 地の恵」は米の旨みを丁寧に引き出した、やわらかく親しみやすい味わいが魅力の一本であり、食事とともにゆったり楽しむのに最適な純米酒である。
■飲み方あれこれ!!
涼冷え(15℃):
軽やかな冷たさが「甲子 純米酒」のやわらかな旨みを引き締め、穏やかな香りがすっと立ち上がる。甘みと酸のバランスが最も整い、食中酒としての軽快さが際立つ温度帯。後味のキレも良く、料理を選ばず心地よく寄り添う。
ぬる燗(40℃):
温度が上がることで米の旨みがふくらみ、丸みのある味わいがより柔らかく広がる。穏やかな香りが優しく立ち、口当たりは滑らかで包み込むような印象に変わる。食事と合わせると一体感が増し、飲み飽きしない温かみのある飲み口になる。
常温(20℃):
香り・旨み・酸のバランスが自然体で感じられ、「甲子 純米酒」の素直な味わいが最もストレートに伝わる。派手さはないが、落ち着いた米の旨みがじんわり広がり、食卓に寄り添う純米酒らしい安心感がある。ゆったりと味わうほど魅力が深まる。
おすすめのマリアージュ
●だし巻き卵:
やさしい甘みとふんわりした旨みが、甲子の柔らかな米の甘旨と自然に重なり合う。酒の穏やかな酸が後味を軽く整え、卵のまろやかさを引き立てる。
●白身魚の塩焼き:
淡い旨みの白身魚に、甲子のすっきりとしたキレと穏やかな香りが寄り添い、素材の味を邪魔せずふくらませる。常温〜涼冷えで合わせると特に調和が良い。
●鶏の照り焼き:
甘辛いタレの香ばしさに、甲子の丸みのある旨みがよく馴染む。酒の軽やかな酸がタレの甘さを引き締め、後味に心地よい余韻が残る。
●豚しゃぶ(ポン酢):
さっぱりした豚肉に、甲子の柔らかな旨みが優しく重なり、ポン酢の酸味と調和して爽やかな食中感を生む。涼冷えで合わせるとより軽快に楽しめる。
▶「株式会社飯沼本家」のこと
「株式会社飯沼本家」は、千葉県印旛郡酒々井町に拠点を置く老舗酒蔵で、その歴史は約300年以上前の元禄年間にさかのぼる。酒々井の地に住み着いたのは約400年前と推定され、江戸幕府から神社仏閣に奉納する酒造りの許可を得たことが酒造業の始まりとされている。その後、江戸末期には商売としての酒造りを本格化させ、明治初期には大規模な醸造所を設立し、地元のみならず他地域にも酒を流通させるようになった。昭和期には出稼ぎ蔵人を多数受け入れ、地域の産業としても大きな存在感を示していた。戦後の大量生産時代を経て、昭和56年には15代目当主が就任し、地元でのブランド価値向上に力を注ぎ、地酒としての存在感を再び高めていった。
同社の酒造りの特徴としてまず挙げられるのは、自社精米による徹底した原料処理である。昭和13年に精米機を導入して以来、自家精米を続けており、現在では千葉県内でも数少ない自社精米蔵となっている。特に雑味の原因となるタンパク質を効率よく取り除く「扁平精米」を採用し、クリアで柔らかな酒質を生み出す基盤を築いている。また、仕込み水には敷地内の井戸から汲み上げる中軟水を使用し、口当たりのやわらかい酒を醸す要素となっている。
さらに、伝統を重んじながらも積極的に機械化を進めている点も特徴的である。櫂入れの自動化やタンク温度の精密管理など、最新設備を導入することで安定した品質を実現している。一方で、杜氏や蔵人が飲みたい酒を自由に造るという柔軟な姿勢を大切にし、毎年の米の状態に合わせた酒造りを行う“毎年が一年生”という精神で臨んでいる。また、火入れ後も生酒のようなフレッシュさを残すためのパストライザー導入など、現代の嗜好に合わせた技術革新にも積極的だ。
近年では、代表銘柄「甲子正宗」を「甲子 -Kinoene-」へリブランディングし、ボトルデザインやブランドイメージを刷新。軽快な飲み口の酒やリンゴ酸多産酵母を使った新商品など、若年層や海外市場も視野に入れた多様な酒造りを展開している。また、酒蔵見学、古民家レストラン、キャンプ場などを併設し、“開かれた観光蔵”(※)として日本酒文化を体験できる場づくりにも力を入れている。
⇒“開かれた観光蔵”(※)
〇「飯沼本家」は、元禄年間に酒造りを始めた歴史ある蔵だが、近年は“開かれた観光蔵”として大きく進化している。築約300年の母屋をリノベーションした「きのえねomoya」では、二十四節気をテーマにした料理と日本酒を提供し、酒蔵を“体験する場”へと変えた。また、敷地内にキャンプ場「SAKE CAMP」を開設し、自然の中で日本酒を楽しむ新しいスタイルを提案。伝統蔵が観光・食文化・アウトドアを融合させた取り組みは、全国でも珍しい存在となっている。
「株式会社飯沼本家」は、長い歴史に裏打ちされた伝統技術と、時代に合わせた革新を両立させることで、地域とともに歩む酒蔵として今も進化を続けている。
▶「株式会社飯沼本家」の歴史(年表)
1688年〜1704年(元禄年間):
江戸幕府より神社仏閣に奉納する酒造りの許可を得て、日本酒造りを開始する。
江戸末期(19世紀中頃):
商売としての日本酒造りを本格化させ、正式な酒屋として事業を展開する。
明治初期(1868年〜):
「明治初年、醸舎ヲ大設シ、以て酒ヲ醸ス」と記録される大規模な醸造所を設立し、地元のみならず他地域にも酒を流通させるようになる。
1923年(大正12年):
関東大震災により主要市場の東京が被災し需要が低下するが、千葉県の漁港を巡るなど販路開拓に努める。
1938年(昭和13年):
事業拡大のため精米機を導入し、自家精米を開始する。以後、自家精米を継続する重要な転機となる。
戦後(昭和20年代〜):
新潟から60〜70人規模の出稼ぎ蔵人を受け入れ、地域産業として大きな存在感を示す。
1981年(昭和56年):
15代目・飯沼喜市郎が当主に就任。大量生産時代の中で地酒の価値向上に取り組み、地域への浸透を図る。
1995年(平成7年):
接客棟として「酒々井まがり家」を開業し、観光蔵としての基盤を築く。
2005年頃(平成17年頃):
国内外の来訪者向けに酒蔵見学を本格化し、“開かれた観光蔵”としての取り組みを強化する。
2016年(平成28年頃):
「日本酒ヌーボー 酒々井の夜明け」や「きのえねアップル」など企画性の高い商品を展開し、新たな需要を開拓する。
2023年(令和5年):
築約300年の母屋を「きのえねomoya」としてリノベーションし、二十四節気料理と日本酒を提供する場として再生する。また、酒蔵敷地内にキャンプ施設「SAKE
CAMP」をグランドオープンする。
2023年4月(令和5年):
代表銘柄「甲子正宗」を「甲子 -Kinoene-」へリブランディングし、ボトルデザインやブランドイメージを刷新する。
Data
生産者:株式会社飯沼本家
住所:千葉県印旛郡酒々井町馬橋106
創業:1688年(元禄元年)
TEL:043-496-1111
URL:https://www.iinumahonke.co.jp/ (飯沼本家公式サイト・直接注文可)
特定名称:純米酒
原料米&精米歩合:麴米・掛米ともに五百万石65%
アルコール度数:15%
酵母:協会901号(蔵元標準酵母)
日本酒度:+3
酸度: 2.5前後
容量: 300ml(瓶)、720ml(瓶)、1800ml(瓶)
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