ごにんむすめ じゅんまいしゅ
2026.05.20
“いのちの酒”の理念を感じる純朴で誠実な一本
『五人娘 純米酒』は、千葉県神崎町の蔵元・寺田本家が手がける、自然醸造の哲学を体現した純米酒です。原料は米と米麹のみ。蔵付き酵母や微生物の力を最大限に生かす“生酛系酒母”を中心に、昔ながらの手仕事を重んじた造りが特徴です。そのため、華やかさよりも、米の旨味と発酵の奥行きをしっかりと感じられる、素朴で滋味深い味わいに仕上がっています。
口に含むと、まず柔らかな米の甘みが広がり、続いて酸が穏やかに支え、後口には心地よい余韻が残ります。派手さはないものの、飲むほどに味わいが開き、食事と寄り添うように寄り添う“日常酒”としての魅力が際立ちます。特に常温やぬる燗では、米の旨味がふくらみ、寺田本家らしい自然な発酵のニュアンスがより豊かに感じられます。
また「五人娘」は、蔵の理念である“いのちの酒”を象徴する銘柄でもあり、農薬や化学肥料に頼らない米づくり、微生物との共生を大切にした酒造りが背景にあります。そのため、味わいだけでなく、造り手の思想や姿勢がしっかりと息づいた一本といえます。素朴で温かみのある風味は、家庭料理や和食全般と相性がよく、ゆっくりと味わうほどに魅力が深まる純米酒です。
■飲み方あれこれ!!
ぬる燗(40℃):
米の旨味が最もふくらみ、自然醸造らしい柔らかな甘みと穏やかな酸が調和して広がる。発酵の奥行きがやさしく立ち上がり、五人娘らしい素朴で滋味深い味わいが最も心地よく感じられる温度帯。
常温(20℃):
米の甘みと酸のバランスが自然にまとまり、落ち着いた風味がゆっくりと広がる。派手さはないが、飲むほどに味わいが開き、食事と寄り添う日常酒としての魅力がしっかりと感じられる。
上燗(45℃):
温度が上がることで旨味がさらに厚みを帯び、発酵由来の複雑さがふくらむ。柔らかな甘みの奥に力強さが現れ、余韻も伸びやかになる。素朴な味わいに温かみが加わり、心身をほぐすような飲み心地になる。
おすすめのマリアージュ
●焼き魚(特にサバの塩焼き):
五人娘の素朴で滋味深い旨味が、サバの脂と塩気をやさしく包み込み、発酵由来の酸が後味をすっきり整える。常温やぬる燗で合わせると、米の甘みがふくらみ相性がさらに良くなる。
●根菜の煮物(れんこん・ごぼう・大根):
自然醸造らしい柔らかな甘みと穏やかな酸が、根菜の土っぽい旨味とよく馴染む。煮汁の甘辛さと酒の素朴さが重なり、食卓に落ち着いた調和をもたらす。
●湯豆腐:
シンプルな大豆の甘みと、五人娘のやさしい米の旨味が寄り添う組み合わせ。ぬる燗にすると酒のふくらみが増し、昆布だしの旨味と一体感が生まれる。
●野菜の天ぷら(かぼちゃ・舞茸・春菊):
天ぷらの香ばしさと野菜の甘みを、五人娘の柔らかな甘旨が包み込む。常温で合わせると、油の重さを感じさせず、素材の風味がより鮮明になる。
▶「株式会社 寺田本家 」のこと
「株式会社 寺田本家」は、千葉県香取郡神崎町に蔵を構える創業350年以上の老舗酒蔵で、1673年(延宝年間)に初代・寺田治右衛門が創業したと伝わる。江戸時代から続く酒造りの歴史を持ちながら、現代においては“自然酒”の象徴的存在として知られ、微生物の働きを尊重した独自の醸造哲学を貫いている。特に20世紀後半以降、蔵の方針は大きく転換し、農薬や化学肥料に頼らない米づくり、蔵付き酵母を生かす発酵、そして生酛系酒母を中心とした伝統的な手法へと回帰した。この流れは、現当主に至るまで一貫して受け継がれ、寺田本家の酒造りの核となっている。
「寺田本家」の特徴は、何よりも“自然と共にある酒造り”(※)を徹底している点にある。蔵の内部には多様な微生物が棲みつき、それらが酒造りに深く関わるため、蔵の環境そのものを大切にし、清掃も薬剤を使わずに行う。酒母造りでは速醸を用いず、生酛や山廃といった昔ながらの手法を採用し、時間と手間を惜しまない。これにより、発酵の力がしっかりと引き出され、米の旨味と酸の調和が自然に生まれる。酒質は華やかさよりも素朴さ、派手さよりも滋味深さを重視し、飲むほどに味わいが開く“いのちの酒”として多くの支持を集めている。
⇒“自然と共にある酒造り”(※)
〇「寺田本家」には、昭和後期から平成初期にかけて行われた“自然酒”への大きな転換という特筆すべきエピソードがある。かつては一般的な酒蔵と同じく、効率化された酒造りを行っていたが、蔵元が「本来の酒とは何か」を問い直したことをきっかけに、農薬や化学肥料に頼らない米づくり、蔵付き酵母を生かす発酵、そして生酛系酒母への回帰といった、手間と時間を惜しまない造りへと舵を切った。この決断は当時としては非常に珍しく、寺田本家の酒造りを根本から変える大きな転換点となった。
また、「寺田本家」は酒造りを単なる製造業ではなく、暮らしや文化と結びついた営みとして捉えている点も特徴的である。蔵では発酵をテーマにしたイベント(※2)や学びの場を積極的に設け、酒造りの背景にある自然観や生命観を広く伝えている。こうした姿勢は、同社の酒が持つ温かみや素朴さにも反映されており、単なる味わい以上の価値を感じさせる。
⇒蔵では発酵をテーマにしたイベント(※2)
〇寺田本家は、酒造りだけでなく地域文化の発展にも大きく寄与している。特に「発酵」をテーマにしたイベントや学びの場を積極的に開催し、神崎町が“発酵の里”として知られるきっかけをつくった。蔵開きや発酵ワークショップには全国から多くの人が訪れ、地域の活性化にもつながっている。酒蔵が地域文化の中心として機能している点は、他の蔵にはない大きな特徴といえる。
「株式会社 寺田本家」の酒は、米・水・微生物という基本要素を最大限に生かし、自然の力を信じて醸すことで生まれる独自の世界観を持つ。長い歴史の中で培われた伝統と、現代における自然醸造の探求が融合した、唯一無二の酒造りを続ける蔵である。
▶「株式会社 寺田本家 」の歴史(年表)
1673年(延宝年間):
初代・寺田治右衛門が現在の千葉県香取郡神崎町にて酒造業を創業し、寺田本家の歴史が始まる。
江戸時代後期(18〜19世紀):
地域の米と水を生かした酒造りを続け、神崎の地酒として定着。蔵には多様な微生物が棲みつき、独自の発酵環境が形成されていく。
明治時代(1868〜1912年):
酒造技術の近代化が進む中でも、寺田本家は手仕事を重んじた造りを維持。地域の農家との結びつきも深まり、米づくりと酒造りの関係が強化される。
昭和初期(1926〜1940年代):
戦時下の統制や物資不足の影響を受けながらも、蔵の伝統を守り酒造りを継続。蔵付き酵母を生かす環境が保たれ、寺田本家らしい酒質が受け継がれる。
1970〜1980年代(昭和後期):
農薬や化学肥料の使用が一般化する中、寺田本家は自然回帰の姿勢を強め、原料米の見直しや伝統的な酒母造りへの回帰を進める転換期となる。
1990年代(平成初期):
“自然酒”という理念を明確に掲げ、生酛系酒母や蔵付き酵母を生かした酒造りを本格化。薬剤を使わない蔵の管理など、独自の醸造哲学が確立される。
2000年代(平成中期):
発酵をテーマにしたイベントや学びの場を積極的に開催し、酒造りを文化として伝える活動を開始。寺田本家の思想が広く知られるようになる。
2010年代(平成後期):
自然醸造の酒蔵として全国的な評価が高まり、五人娘をはじめとする銘柄が“いのちの酒”として支持を集める。蔵の環境と微生物を尊重する姿勢がさらに深化する。
2020年代(令和):
創業350年以上の歴史を背景に、伝統と自然醸造を融合した酒造りを継続。地域との共生や発酵文化の発信にも力を入れ、唯一無二の蔵として歩みを続けている。
Data
生産者:株式会社 寺田本家
住所:千葉県香取郡神崎町神崎本宿1964
創業:1673年(延宝年間)
TEL:0478-72-2221
URL:https://www.teradahonke.co.jp/ (寺田本家公式サイト・直接注文可)
特定名称:純米酒
原料米&精米歩合:麴米・掛米ともに美山錦
アルコール度数:14%
酵母: 蔵付き酵母
日本酒度:-3〜+1(仕込み年により変動)
酸度: .5〜3.8(仕込み年により変動)
容量: 720ml(瓶)、1800ml(瓶)
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