「白露酒造株式会社」は、1730年（享保15年）に鹿児島市大竜町で創業した造り酒屋を起源とする、長い歴史を持つ酒造メーカーです。1960年（昭和35年）に法人化され、1989年（平成元年）には現在の鹿児島県指宿市山川に工場を移転しました。指宿市山川は薩摩半島の最南端に位置し、17世紀初頭にさつまいもが日本に初めて伝来した地として知られています。この地域は芋の栽培に適した肥沃な土壌と温暖な気候に恵まれており、焼酎造りに理想的な環境が整っています。

「白露酒造（※）」の焼酎造りの最大の特徴は、地元産の上質なさつまいも「黄金千貫」と、開聞岳の麓から湧き出る天然の軟水を使用している点です。この水は国土交通省の「水の郷百選」にも選ばれており、焼酎の仕込み水や割水として最適な品質を誇ります。原料の芋は、収穫後すぐに加工され、鮮度を保ったまま仕込みに使用されることで、芋本来の甘みと香りを最大限に引き出しています。

製法においても、「白露酒造」は昔ながらの手法を大切にしています。焼酎は常圧蒸留で造られ、最低でも1年間の熟成期間を設けています。この熟成の間、外気との温度差によって生じる余分な油分を手作業で丁寧に取り除くことで、低温ろ過では得られない深みのある味わいを実現しています。こうした工程により、まろやかで香り高く、飲みやすい焼酎が生まれます。

また、白麹や黒麹を使い分けることで、製品ごとに異なる風味を持たせており、すっきりとした辛口から、甘く優しい口当たりまで幅広いラインナップを展開しています。伝統を守りながらも、現代の嗜好に合わせた焼酎造りを追求する姿勢が、「白露酒造株式会社」の魅力です。

自然の恵みと職人の技が融合した焼酎は、地元鹿児島だけでなく全国の焼酎ファンからも高い評価を受けており、贈答品や特別なひとときの一杯としても選ばれています。