「霧島横川酒造株式会社」は、鹿児島県霧島市横川町に蔵を構える比較的新しい焼酎蔵でありながら、確かな技術とこだわりの酒造りで注目を集めています。もともとは帖佐醸造有限会社として姶良郡姶良町に存在していた蔵が、平成17年に経営権を譲渡され、翌平成18年に現在の霧島市横川町に新工場を設立。同年10月に「霧島横川酒造株式会社」へと社名を変更し、横川町初の焼酎蔵として新たな歴史を刻み始めました。

蔵の敷地は霧島連山を望む広大な土地にあり、自然環境に恵まれた立地が焼酎造りに理想的な条件を提供しています。特筆すべきは、仕込み水として使用される「蒼き水」。これは霧島山系の地下水脈から湧き出る天然水で、火山礫層やシラス台地、溶結凝灰石を通って濾過されたミネラル豊富な軟水です。タンクに溜めると青く輝く性質を持ち、麹や酵母との相性が良く、焼酎の熟成を早める効果があるとされています。

焼酎造りの中心を担うのは、杜氏歴40年以上のベテラン・五領三郎氏。彼は自身の実家の蔵で長年にわたり焼酎製造を指揮し、全量芋仕込みの有名銘柄を手がけた経験を持つ人物です。「霧島横川酒造」の創業時に取締役工場長として迎えられ、以来、酒質の向上と安定した製造体制の確立に貢献しています。開業からわずか数年で鹿児島県本格焼酎鑑評会にて3年連続で優等賞と杜氏賞を受賞するという快挙を成し遂げ、蔵の実力を証明しました。

焼酎造りにおいては、芋焼酎を中心に据え、原料には鹿児島県産の黄金千貫を使用。白麹による仕込みで、すっきりとした香りとまろやかな口当たりを実現しています。常圧蒸留によって芋本来の風味を引き出しながらも、クセの少ない飲みやすい焼酎に仕上げる技術は、初心者から通好みの愛飲家まで幅広く支持されています。

また、ラベルデザインにもこだわりがあり、代表銘柄「横川」は、仕込み水「蒼き水」をイメージしたブルーのラベルにリニューアルされ、より親しみやすい印象を与える工夫が施されています。

「霧島横川酒造」は、伝統と革新を融合させた焼酎造りを通じて、鹿児島焼酎の新たな可能性を切り拓いている蔵元です。自然の恵みと職人の技が織りなすその味わいは、今後ますます注目されることでしょう。