「国分酒造協業組合」は、鹿児島県霧島市（旧国分市）に位置する焼酎蔵で、昭和61年（1986年）に設立されました。その起源は昭和45年（1970年）にさかのぼり、当時の国分市および姶良郡の焼酎製造者10社が共同瓶詰め工場として「加治木酒造協業組合」を設立したことに始まります。その後、製造免許の一本化に賛同した6社が集まり、「国分酒造協業組合」として新たなスタートを切りました。

設立当初から「国分酒造協業組合」は、焼酎造りにおいて革新性と伝統の融合を目指してきました。特筆すべきは、1997年に業界初となる「芋麹仕込み」の芋焼酎造りに挑戦したことです。通常、芋焼酎は米麹とさつまいもを原料としますが、同組合は麹にも芋を使用する（※）という大胆な発想で、100％さつまいもによる焼酎造りを実現しました。これは、地元の酒販店からの「芋だけで焼酎は造れないのか？」という問いかけがきっかけとなり、杜氏・安田宣久氏の情熱と技術によって形になったものです。

この挑戦は当初、もろみの腐敗寸前という困難に直面しましたが、試行錯誤の末に蒸留に成功し、翌年には「いも麹芋」として商品化されました。この焼酎は、芋の甘みと香りが際立ち、従来の芋焼酎とは一線を画す味わいで高い評価を受けています。以降、「国分酒造協業組合」は、白麹・黒麹・黄麹といった麹の違いを活かした多彩な焼酎を展開し、個性的なラインナップを築いています。

また、焼酎造りに使用する水にもこだわりがあり、霧島山系・川原渓谷の伏流水を地下100メートルから汲み上げて使用しています。この清冽な水が、焼酎の味わいに透明感と深みを与えています。原料のさつまいもも、鹿児島県および宮崎県産の厳選されたものを使用し、芋切りから仕込みまで丁寧な手作業で行われています。

「国分酒造協業組合」は、伝統を守りながらも常に新しい挑戦を続ける姿勢で、鹿児島の焼酎文化を牽引する存在となっています。焼酎の可能性を広げるその姿勢は、今後も多くの焼酎ファンを魅了し続けることでしょう。