たか とくべつじゅんまい60
2026.09.24
飲み飽きしないキレの良さが光る定番の一本
『貴 特別純米60』は、山口県宇部市の株式会社 永山本家酒造場を代表する定番銘柄であり、「食中酒」を強く意識して造られた特別純米酒です。蔵が目指すのは、酒そのものが主張し過ぎず、料理と寄り添いながら互いの魅力を引き出すこと。その理念を最もわかりやすく表現した一本として、多くの日本酒愛好家から支持されています。
原料米には麹米に山田錦、掛米に八反錦を使用し、精米歩合60%で仕込まれています。アルコール度数は16度で、特別純米酒らしい米の旨味を持ちながらも重たさを感じさせないバランスの良さが特徴です。蔵元では「すっきりとした酸味と柑橘のようなさわやかさ」を味わいの特徴として挙げており、爽やかな飲み口が印象的です。
口に含むと、穏やかな吟醸香とともに柑橘類を思わせる心地よい酸味が広がります。その後に米由来の自然な旨味が膨らみ、最後は軽快でミネラル感のある後味へと続きます。酸味、旨味、キレのバランスが優れているため、飲み飽きしにくく、杯を重ねても心地よく楽しめる酒質に仕上がっています。
この酒の大きな魅力は料理との相性の良さです。特に青魚や牡蠣などの和食との相性に優れ、生臭さを旨味へと変えてくれるほどのキレを持っています。魚介料理の繊細な風味を壊さず、それでいて酒の存在感もしっかり感じられるため、食卓で活躍する一本として高く評価されています。また、刺身や煮物だけでなく、肉料理や洋食とも合わせやすく、幅広い料理を受け止める懐の深さを備えています。
さらに、「貴」の中でも最も定番の商品として長年愛されており、2003年にはdancyu誌の「地方の隠れた名酒部門」で第1位を受賞した実績もあります。柔和さと力強さを兼ね備えた味わいは、日本酒初心者から愛好家まで幅広い層に受け入れられています。冷酒から燗酒まで幅広い温度帯で楽しめるため、その日の料理や気分に合わせて表情の変化を味わえる点も魅力です。飲みやすさと奥深さを両立した、蔵を代表する食中酒といえるでしょう。
■飲み方あれこれ!!
花冷え(10℃):
柑橘類を思わせる爽やかな香りと酸味が最もバランス良く感じられます。軽快な飲み口と米の旨味が調和し、食中酒としての魅力を存分に楽しめます。
涼冷え(15℃):
酸味と旨味にふくらみが生まれ、より豊かな味わいになります。魚介料理や和食との相性が良く、後味のキレも心地よく感じられます。
ぬる燗(40℃):
米由来の旨味と甘みが引き立ち、やわらかで落ち着いた味わいになります。酸味とのバランスも良く、料理を包み込むような穏やかな飲み心地を楽しめます。
おすすめのマリアージュ
●牡蠣の酒蒸し・焼き牡蠣:
牡蠣の濃厚な旨味とミネラル感が酒の爽やかな酸味と調和します。後味は重くならず、互いの旨味を引き立てながら上品な余韻が広がります。
●鯛の昆布締め:
鯛の上品な甘みと昆布の旨味が酒のやわらかな米の旨味と重なります。繊細ながら奥行きのある味わいとなり、心地よい余韻を楽しめます。
●アジのなめろう:
魚の旨味と味噌の風味に負けない酒の存在感がありながら、爽快な酸味が後口を整えます。旨味の相乗効果が生まれる相性の良い組み合わせです。
●白身魚のカルパッチョ:
魚の繊細な旨味とオリーブオイルの風味に、酒の柑橘系のニュアンスが寄り添います。爽やかで洗練された味わいを楽しめます。
▶「株式会社 永山本家酒造場」のこと
「株式会社 永山本家酒造場」は、1888年(明治21年)に山口県宇部市二俣瀬地区で創業した酒蔵です。創業者である初代・永山橘太郎によって設立され、以来130年以上にわたり地域に根差した酒造りを続けてきました。創業当時、周辺には複数の酒蔵が存在していましたが、交通の要所に位置していたこともあり、地域の中心的な酒蔵として発展しました。また、歴代当主は地域社会への貢献にも力を注ぎ、神社や橋の寄進、公共施設として利用された建物の提供などを通じて地元との深い結び付きを築いてきました。
時代の変化とともに日本酒業界を取り巻く環境は大きく変わりましたが、「株式会社 永山本家酒造場」は伝統を守るだけではなく、新たな挑戦を続けてきました。1990年代後半からは経営改革を進め、5代目当主で杜氏の永山貴博氏のもと、新しい酒造りの理念を確立します。そして誕生したのが代表銘柄「貴」です。この銘柄名は歴代当主の名前に由来し、蔵の新たな象徴として国内外で高い評価を受けるようになりました。
同社の酒造りの最大の特徴は、「Think Globally, Act Locally」という理念のもと、土地の個性を酒に表現することにあります。ワインの世界で用いられる「テロワール」の考え方を日本酒に取り入れ、米、水、土壌、気候など地域固有の条件を重視した酒造りを実践しています。その象徴が「ドメーヌ貴」であり、自社や近隣で栽培した酒米を使用し、土地の特徴をそのまま酒に映し出そうとしています。
原料米へのこだわりも非常に強く、山田錦を中心に山田穂や雄町などの酒米を使用しています。また近年は農業法人を設立し、自ら酒米の栽培にも取り組んでいます。米作りから醸造まで一貫して関わることで、原料の個性を最大限に引き出す酒造りを目指しています。こうした姿勢は、日本酒を単なる工業製品ではなく、土地が生み出す農産物として捉える考え方に基づいています。
仕込み水には、秋吉台を源流とし蔵の近くを流れる厚東川の伏流水を使用しています。この水は石灰岩層を通過することで適度なミネラル分を含む中硬水となり、酒にキレの良さと奥行きのある味わいを与えています。そのため「貴」の酒質は、米の旨味をしっかり感じさせながらも重たくなり過ぎず、爽やかな酸味と美しい後味を持つ食中酒として評価されています。
また、同社は早くから純米酒へのこだわりを打ち出してきた蔵として知られています。米と水が持つ本来の魅力を素直に表現することを重視し、料理との相性を考えた酒造りを追求しています。瀬戸内海の豊かな魚介文化に寄り添う酒を目指し、旨味と酸味、そして後味のキレのバランスを整えることで、和食だけでなく幅広い料理と楽しめる日本酒を生み出しています。伝統を大切にしながらも革新を続ける姿勢こそが、「株式会社
永山本家酒造場」の大きな魅力となっています。
Data
生産者:株式会社永山本家酒造場
住所:山口県宇部市大字車地138
創業:1888年(明治21年)
TEL:0836-62-0088
URL:https://www.domainetaka.com/ (永山本家酒造場公式サイト・直接注文可)
特定名称:特別純米酒
原料米&精米歩合:麹米・山田錦60%、掛け米・八反錦60%
アルコール度数:16%
酵母:協会9号酵母
日本酒度:+4
酸度:1.6
容量:720ml(瓶)、1800ml(瓶)
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