がっさん とくべつじゅんまいしゅ
2026.05.07
落ち着いた香りとやわらかなコクが調和する純米酒
『月山 特別純米』は、島根県安来市の吉田酒造が手がける、清らかで端正な味わいを持つ特別純米酒です。蔵が位置する広瀬町は古くから良質な水に恵まれ、月山の名を冠したこの酒にも、その清冽な水の個性がしっかりと息づいています。香りは控えめで、米の自然な甘みと旨味を素直に感じさせる落ち着いた立ち上がり。派手さよりも“きれいさ”を重視した酒質が、まず第一印象として伝わります。
口に含むと、やわらかな旨味がふわりと広がり、後半にかけてすっと引いていく透明感のあるキレが心地よく続きます。特別純米らしい厚みを持ちながらも、重たさを感じさせない軽快さがあり、飲み飽きしないバランスの良さが魅力です。冷酒ではシャープさが際立ち、常温では米のふくらみが増し、燗にすると柔らかい甘みが引き立つなど、温度帯によって表情が変わるのも特徴です。
食中酒としての完成度も高く、白身魚の刺身や塩焼き、だしを使った料理、淡い味付けの野菜料理などと相性が良い一本。料理の味を邪魔せず、むしろ引き立てるように寄り添うため、日常の食卓でも活躍します。素朴でありながら品があり、飲むほどに魅力が深まる「月山 特別純米」は、蔵の丁寧な酒造りをそのまま映し出した、静かで美しい味わいの日本酒です。
■飲み方あれこれ!!
涼冷え(15℃):
香りが最もきれいに立ち、透明感のある旨味がすっと広がる。キレが軽やかで、特別純米らしい端正さが際立つ温度帯。
常温(20℃):
米のふくらみと柔らかなコクが最も自然に感じられ、落ち着いた味わいが心地よい。食中酒としてのバランスが優れ、料理との調和が深まる。
ぬる燗(40℃):
温度が上がることで甘みと丸みが増し、柔らかい余韻が長く続く。穏やかな香りがふくらみ、やさしい味わいがじんわりと広がる。
おすすめのマリアージュ
●白身魚の刺身:
控えめで清らかな香りが魚の繊細な旨味を邪魔せず、透明感あるキレが後口をすっきり整える。素材の味を引き立てる相性の良さが際立つ。
●だし巻き卵:
やわらかな旨味とふくらみのある甘みが、出汁のまろやかさと重なり合う。温かい料理でも酒質が崩れず、穏やかな余韻が心地よく続く。
●焼き魚(塩焼き):
香ばしさと塩味に、月山特別純米の落ち着いたコクが寄り添う。後半のすっとしたキレが脂を流し、食事が軽やかに進む。
●炊き合わせ(野菜の煮物):
控えめな香りと柔らかな旨味が、淡い味付けの野菜と自然に調和する。料理の温かみを損なわず、穏やかな味わいが重なる。
▶「吉田酒造株式会社」のこと
「吉田酒造株式会社」は、1826年(文政9年)に島根県安来市広瀬町で創業した老舗の酒蔵であり、約200年にわたり地域の水と米に根ざした酒造りを続けてきた。創業地である広瀬町は、月山の伏流水に恵まれ、古くから良質な水の産地として知られている。同社はこの清冽な軟水を仕込み水に用い、雑味のない澄んだ味わいを持つ酒を生み出してきた。創業当初は地元向けの酒造りが中心であったが、時代の変化とともに品質向上を重ね、徐々に県外でも名を知られる存在となった。
酒造りの特徴は、米の旨味を素直に引き出す“きれいな酒質”へのこだわりにある。麹造りでは温度と湿度を細かく管理し、発酵は低温でじっくりと進めることで、透明感のある味わいと柔らかな旨味を両立させている。また、香りを過度に強調せず、食事に寄り添う穏やかな香味設計を重視している点も特徴的である。代表銘柄「月山」は、控えめな香りと清らかなキレを備え、和食との相性の良さから“食中酒の名手”(※)として高い評価を得ている。
⇒“食中酒の名手”(※)
〇同社の代表銘柄「月山」は、控えめな香りと清らかなキレを特徴とし、和食との相性の良さから“食事を引き立てる酒”として高い評価を得ている。特に県外での知名度が高まった1990年代以降、料理人や日本酒愛好家の間で“料理の邪魔をしない純米酒”として支持を集め、吉田酒造の名を全国に広める大きなきっかけとなった。
さらに、伝統を守りながらも設備の近代化を進め(※2)、安定した品質を保つための取り組みを積極的に行ってきた。小仕込みによる丁寧な造りを維持しつつ、現代の技術を取り入れることで、蔵の個性を損なわずに品質を磨き続けている。「吉田酒造株式会社」は、月山の名を冠した酒に象徴されるように、清らかで端正な酒造りを貫く蔵として、今も静かにその存在感を深めている。
⇒伝統を守りながらも設備の近代化を進め(※2)
〇老舗でありながら、吉田酒造は伝統に固執せず、必要な部分には積極的に近代設備を導入してきた。温度管理の精度向上や衛生環境の整備など、品質を安定させるための投資を続けつつ、一方で麹づくりや発酵の要所では手仕事を残し、蔵の個性を損なわない酒造りを維持している。この“伝統と現代技術の両立”は、同社の大きな強みとなっている。
▶「吉田酒造株式会社」の歴史(年表)
1826年(文政9年):
「吉田酒造株式会社」の前身が島根県安来市広瀬町で創業し、月山の伏流水を用いた酒造りを始める。
明治時代(1868〜1912年):
地元向けの清酒生産を拡大し、地域の食文化に根ざした“きれいな酒質”を確立していく。
1920〜1930年代(大正末〜昭和初期):
設備の改良を進め、安定した品質を保つための仕込み体制を整備する。
1950年代(昭和中期):
戦後の需要回復とともに生産量が増加し、広瀬町の代表的な酒蔵としての地位を固める。
1970〜1980年代(昭和後期):
低温発酵技術の導入や麹管理の精度向上に取り組み、透明感のある酒質をさらに磨き上げる。
1990年代(平成初期):
代表銘柄「月山」が県外でも評価され始め、食中酒としての知名度が高まる。
2000年代(平成中期):
小仕込みを維持しつつ設備の近代化を進め、品質の安定と蔵の個性の両立を図る。
2010年代(平成後期):
香りを抑えた端正な味わいを追求し、和食との相性を重視した酒造りが評価される。
2020年代(令和期):
伝統を守りながら新たな技術も取り入れ、清らかで食に寄り添う酒を造る蔵として存在感を深めている。
Data
生産者:吉田酒造株式会社
住所:島根県安来市広瀬町広瀬1216
創業:1826年(文政9年)
TEL:0854-32-2258
URL:https://e-gassan.co.jp/ (吉田酒造公式サイト・直接注文可)
特定名称:特別純米酒
原料米&精米歩合:麹米・掛米ともに酒造好適米60%
アルコール度数:15%
酵母:―
日本酒度:―
酸度:―
容量: 720ml(瓶)、1800ml(瓶)
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