山丹正宗 しずく媛 純米吟醸

やまたんまさむね しずくひめ じゅんまいぎんじょう

2026.05.08

愛媛県産酒米「しずく媛」が生む繊細で透明感ある酒質

『山丹正宗 しずく媛 純米吟醸』は、白百合の花を思わせる上品な香りと、可憐な果実のようなフルーティさが特徴の一本です。ほのかに柑橘を思わせる爽やかな香りが寄り添い、香りの華やかさと清涼感が心地よく広がります。口に含むと、なめらかな舌触りと軽やかな甘みが最初に感じられ、続いて上品な果実味とほのかな旨味が広がります。後口はキュッと締まり、余韻はすっきりとした印象で、飲み疲れしない軽快な仕上がりです。

使用されている酒米「しずく媛」は、愛媛県が開発した酒造好適米で、柔らかく繊細な味わいを引き出す特性があります。精米歩合50%まで磨くことで、雑味のないクリアな酒質となり、香りの華やかさと味わいの透明感が際立ちます。

日本酒度は+4〜±0、酸度は1.7〜1.8と、フルーティさの中にキリッとした酸味が共存するバランス型。甘すぎず辛すぎず、食中酒としても優秀で、特に白身魚や柑橘を使った料理、軽めのチーズなどと好相性です。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2020」で最高金賞を受賞しており、その香りの美しさと味わいの完成度が高く評価されています。

「山丹正宗 しずく媛 純米吟醸」は、愛媛の“やさしさ・温暖さ・のどかさ”を表現した、柔らかくフルーティで上品な純米吟醸酒です。香りと味わいのバランスが良く、冷酒でその魅力が最も引き立ちます。食事と合わせても単体でも楽しめる、幅広いシーンに寄り添う一本といえます。

■飲み方あれこれ!!

花冷え(10℃):

しずく媛由来のやわらかい果実香が最もクリアに立ち上がり、メロンや白桃を思わせる上品な香りがふわりと広がる。口当たりは非常に滑らかで、純米吟醸らしい透明感のある甘みと酸のバランスが際立ち、後味はスッと消えるように軽やか。雑味が一切なく、酒質の美しさがそのまま伝わる温度帯。

涼冷え(15℃):

香りはやや落ち着き、味わいのふくらみが増す。米の旨味がやさしく広がり、甘みと酸の調和がより柔らかく感じられる。10℃よりも味の厚みが出るため、食中酒としての万能性が高まり、飲み進めても疲れない。余韻にはほのかな甘旨さが残り、穏やかで心地よい印象。

常温(20℃):

香りは穏やかになり、米の旨味がふんわりと広がる落ち着いた表情に変わる。冷酒のときのシャープさは控えめになるが、その分、柔らかい甘みと丸みのある口当たりが際立ち、しずく媛の優しいキャラクターが最も自然に感じられる。余韻はやや長く、穏やかで包み込むような印象。

おすすめのマリアージュ

●白身魚の昆布締め:

昆布の旨味がしずく媛の柔らかな甘みと重なり、酒の果実香がより立体的に感じられる。白身魚の淡い旨味を壊さず、酒の透明感が後味をきれいに整える。

●鯛の塩焼き:

焼き目の香ばしさと鯛の上品な脂が、純米吟醸のふくらみを引き出す。塩味が酒の甘旨を際立たせ、余韻の軽やかさが口中をリセットしてくれる。

●冷奴(塩+オリーブオイル):

豆腐のまろやかさとオリーブオイルの香りが、しずく媛の柔らかい果実香とよく溶け合う。塩が味を引き締め、酒の甘みがより優しく感じられる。

●天ぷら(キス・野菜):

軽い衣の香ばしさと素材の甘みが、酒の上品な香りと調和する。特にキスやアスパラなど淡い旨味の食材と相性が良く、後味のスッと消える感じが心地よい。

●カプレーゼ(モッツァレラ+トマト+バジル):

モッツァレラのミルキーさが酒の柔らかい甘みと響き合い、トマトの酸味が吟醸香を引き立てる。バジルの香りがアクセントになり、ワイン的な楽しみ方ができる。

●鶏むね肉の塩麹焼き:

塩麹の自然な甘みと旨味が、しずく媛のふくらみと美しく重なる。鶏むね肉の淡白さが酒の繊細さを損なわず、後味は非常に滑らか。

▶「株式会社八木酒造部」のこと

「株式会社八木酒造部」は1831年(天保二年)、初代・八木治兵衛が今治で創業した老舗酒蔵である。創業当初は屋号を「丹波屋」とし、醤油製造や木綿の卸売を営んでいたが、翌年には清酒造りを開始し、これが現在まで続く酒造業の礎となった。戦時中の1945年(昭和20年)には空襲により蔵が全焼するという大きな被害を受けたが、翌年には酒造りを再開(※)し、地域に根ざした酒蔵として復興を果たした。1950年(昭和25年)には法人化し「株式会社八木酒造部」となり、今治市で唯一の酒蔵として伝統を守り続けている。

⇒翌年には酒造りを再開(※)

〇1945年(昭和20年)の今治空襲で蔵は全焼し、酒造業は壊滅的な被害を受けた。しかし「酒を絶やしてはならない」という強い思いから、翌1946年には早くも酒造りを再開している。設備も原料も不足する中での再出発は困難を極めたが、地域の人々の支えと蔵人の執念によって復興を果たした。このエピソードは、八木酒造部が“地域の酒蔵”として歩み続ける姿勢を象徴している。

代表銘柄「山丹正宗」の名は、屋号「丹波屋」の“丹”と、酒のキレを名刀「正宗」に重ねたことに由来する。1992年(平成4年)にはデザイナー松井桂三氏によるロゴへ刷新され、現代的なブランドイメージを確立した。

酒造りの特徴としてまず挙げられるのは、原料米の9割以上を愛媛県産米(松山三井・しずく媛など)で占める徹底した地元志向である。仕込み水には、今治市南西の高縄山地を水源とする蒼社川の伏流水を蔵の井戸から汲み上げて使用しており、その水質の良さは昭和天皇がこの井戸水でお茶を淹れた(※2)という逸話にも表れている。

⇒昭和天皇がこの井戸水でお茶を淹れた(※2)

〇今治市南西の高縄山地を水源とする伏流水は非常に清らかで、蔵では創業以来この井戸水を仕込み水として使い続けてきた。昭和天皇が今治を訪れた際、この井戸水でお茶を淹れたところ、その味わいを大変気に入られたと伝わっており、蔵人たちにとっては水の質の高さを象徴する誇り深い出来事となっている。この水の柔らかさと清らかさが、山丹正宗の“きれいな酒質”を支える根幹となっている。

また、酒造りは越智杜氏の伝統技術を継承しつつ、徹底した衛生管理と丁寧な手造りを重視し、「とにかくきれいな酒」を目指している点が特徴的である。酒質はフレッシュでクリーン、瀬戸内の海の幸や地元料理に寄り添う“テロワールを意識した酒”として評価されている。

さらに近年は、室町時代の古式醸造「水酛(みずもと)」への挑戦(※3)や、愛媛県の新酵母「愛媛さくらひめ酵母」の採用など、伝統と革新を両立させる取り組みも進めている。若い杜氏・石田将志氏のもと、老舗でありながら新しい酒造りへの挑戦を続ける姿勢が際立つ。

⇒室町時代の古式醸造「水酛(みずもと)」への挑戦(※3)

〇水酛は乳酸菌の自然な働きを利用する難易度の高い製法で、雑味のない柔らかい酸が特徴となる。若手杜氏・石田将志氏が中心となり、伝統技術と現代的な感性を融合させた酒造りを進めており、蔵の新たな時代を象徴する取り組みとして注目されている。

このように「株式会社八木酒造部」は、190年を超える歴史の中で培った伝統と、地元の風土を生かした酒造り、そして新たな技術への挑戦を融合させ、今治の地酒文化を支える存在であり続けている。

▶「株式会社八木酒造部」の歴史(年表)

1831年(天保2年):

初代・八木治兵衛が今治にて「丹波屋」を創業し、醤油製造や木綿の卸売を開始した。

1832年(天保3年):

清酒の製造を開始し、酒蔵としての歴史が本格的に始まった。

1945年(昭和20年):

戦時中の空襲により蔵が全焼し、酒造業は大きな被害を受けた。

1946年(昭和21年):

全焼からわずか1年で酒造りを再開し、地域の酒蔵として復興を果たした。

1950年(昭和25年):

法人化し、「株式会社八木酒造部」として設立された。これにより企業としての基盤が整えられた。

1981年(昭和56年):

国税庁醸造試験所主催の全国新酒鑑評会で金賞を受賞し、品質の高さが全国的に評価された。

1988年(昭和63年):

蔵を増築し、生産体制を強化した。

1992年(平成4年):

代表銘柄「山丹正宗」のロゴを、デザイナー松井桂三氏によるデザインへ刷新し、現代的なブランドイメージを確立した。

2008年以降(平成〜令和):

愛媛県産米の使用比率を9割以上に高め、地元のテロワールを重視した酒造りを推進。越智杜氏の伝統技術を継承しつつ、衛生管理の徹底と手造りを重視した“きれいな酒”を追求した。

2021年(令和3年):

杜氏が世代交代し、若い石田杜氏が就任。室町時代の古式醸造「水酛」や愛媛県の新酵母「愛媛さくらひめ酵母」など、新たな挑戦が本格化した。

Data

生産者:株式会社八木酒造部

住所:愛媛県松山市道後喜多町3-23

創業:1877年(明治10年)

TEL:089-924-6616

URLhttps://www.yamatan.jp/ (

特定名称:純米吟醸酒

原料米&精米歩合:麹米・掛米ともにしずく媛(愛媛県産)50%

アルコール度数:16%

酵母:愛媛県酵母

日本酒度:+4

酸度:1.8

容量: 720ml(瓶)、1800ml(瓶)

 

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