蒼田 特別純米酒 山廃仕込み

そうでん とくべつじゅんまいしゅ やまはいしこみ

2026.05.22

山廃ならではの力強い酸が生む奥深い味わい

『蒼田 特別純米酒 山廃仕込み』は、福岡県八女市の蔵元・喜多屋が伝統的な山廃酒母で仕込むことで、米の旨味と酸の力強さを引き出した一本である。山廃ならではの複雑な香味と、特別純米酒らしい端正な米の風味が調和し、飲むほどに奥行きが増す味わいが特徴だ。雄町を用いた柔らかな旨味に、山廃由来のしっかりとした酸が骨格を与え、香りは控えめながら落ち着いた乳酸系のニュアンスが漂う。派手さよりも、じっくりと味わうほど魅力が深まるタイプの純米酒といえる。

口に含むと、ふくらみのある旨味がゆっくりと広がり、後半には山廃らしいキレのある酸が全体を引き締める。余韻には米の甘みとほのかな苦味が残り、食中酒としての存在感が際立つ。冷酒では酸がシャープに感じられ、常温では旨味がより豊かに開き、燗にすると丸みと深みが増して一層飲み心地が良くなるなど、温度帯によって表情が大きく変わるのも魅力である。

料理との相性も幅広く、旨味の強い料理や発酵食品との相性が特に良い。焼き魚や煮物、味噌を使った料理、さらにはチーズや肉料理にも合わせやすく、食卓の中心で活躍する一本となる。伝統製法を守りつつ、現代の食文化にも寄り添う柔軟さを備えた「蒼田 特別純米酒 山廃仕込み」は、喜多屋の技と土地の風土が生み出す、滋味深い味わいを楽しめる純米酒である。

■飲み方あれこれ!!

上燗(45℃):

山廃らしい酸がほどよく丸みを帯び、雄町のふくらむ旨味が最もバランス良く広がる。香りは落ち着きつつも奥行きがあり、後味のキレが心地よく残る。複雑さと飲みやすさが両立する温度帯。

ぬる燗(40℃):

旨味が柔らかく開き、山廃由来の酸が穏やかに調和する。全体に丸みが出て、乳酸系のやさしい香りがふわりと立つ。食中での馴染みが良く、長く飲んでも疲れない落ち着いた印象。

常温(20℃):

米の旨味と酸の骨格が最も素直に感じられ、山廃仕込みの複雑さが自然に広がる。香りは控えめながら深みがあり、余韻にはほのかな苦味と甘みが残る。料理との相性も幅広く、日常酒としての魅力が際立つ。

おすすめのマリアージュ

●焼きサバ:

山廃由来の力強い酸が脂の乗ったサバをすっきりと引き締め、雄町のふくらむ旨味が香ばしさと重なって深い余韻を生む。

●豚の角煮:

濃厚な甘辛いタレに、蒼田の酸と旨味がしっかり寄り添い、重さを感じさせずにコクを引き立てる。温度帯を上げるとさらに調和が増す。

●味噌田楽:

味噌の発酵由来の旨味と山廃の複雑な酸味が共鳴し、香ばしさと甘みがより豊かに感じられる。常温〜燗で特に相性が良い。

●青カビチーズ:

力強い酸と深い旨味がチーズの塩味とコクを受け止め、後味をすっきりまとめる。意外性がありながら調和の取れた組み合わせ。

●鶏もも肉の塩焼き:

シンプルな塩味に、蒼田の旨味と酸が心地よく重なり、肉のジューシーさを引き立てる。燗にするとより一体感が増す。

▶「株式会社 喜多屋」のこと

「株式会社 喜多屋」は、福岡県八女市に蔵を構える老舗酒蔵で、1820年(文政3年)に創業して以来、二百年以上にわたり地域の風土とともに歩んできた蔵である。八女は古くから茶の産地として知られ、清らかな水と豊かな自然に恵まれた土地であり、喜多屋はその環境を生かしながら、時代に応じて技術を磨き続けてきた。創業当初は地元の人々に寄り添う酒造りを中心に行い、地域の生活文化と深く結びついた存在として発展してきた。

同社の酒造りの特徴としてまず挙げられるのは、米の旨味を丁寧に引き出す姿勢である。酒米には山田錦や雄町などの良質な品種を用い、精米から麹造り、発酵管理に至るまで細やかな手仕事を重ねることで、雑味のない透明感とふくらみのある味わいを実現している。特に、低温でじっくりと発酵させることで、香りが華美になりすぎず、食事に寄り添う落ち着いた酒質を生み出す点は、喜多屋の酒に共通する大きな魅力である。また、仕込み水には八女の軟水を使用しており、この水がもたらす柔らかな口当たりと清らかな後味が、同社の酒の個性を形づくっている。

さらに、伝統を守りながらも革新を恐れない姿勢も喜多屋の特徴である。山廃仕込みや生酛系の技法を取り入れ(※)、複雑で奥行きのある味わいを追求する一方で、現代の嗜好に合わせた軽快な純米酒や香りのバランスを整えた吟醸酒など、多様なラインナップを展開している。これにより、食中酒としての実力を保ちながら、幅広い層に受け入れられる酒造りを実現している。

⇒山廃仕込みや生酛系の技法を取り入れ(※)

〇伝統的な山廃酒母を取り入れたことで、喜多屋の酒は複雑で奥行きのある味わいを獲得した。特に「蒼田」シリーズは、雄町の旨味と山廃由来の酸が調和する独自のスタイルを確立し、蔵の技術力を象徴する存在となっている。

また、国際的な評価も高く、海外のコンテストで数多くの受賞歴を持つ点も特筆すべきである。これは、喜多屋の酒が日本国内だけでなく、世界の食文化にも調和する品質を備えていることを示している。地域の農家と協力した酒米づくりや、環境に配慮した取り組みも積極的に行い、地域社会とともに未来へ酒文化をつなぐ姿勢が一貫している。

「株式会社 喜多屋」は、伝統の技と革新の精神を両立させながら、八女の風土を映した酒を造り続ける蔵であり、その酒は静かでありながら確かな存在感を持ち、飲む人に深い満足を与えるものである。

▶「株式会社 喜多屋」の歴史(年表)

1820年(文政3年):

福岡県八女市にて創業し、酒造業を開始する。地域に根差した地酒としての基盤を築き始める。

江戸後期(19世紀前半):

八女の良質な水と米を生かした酒造りが広まり、地元で親しまれる蔵として成長する。

明治時代(1868〜1912年):

酒造技術の近代化を進め、設備の改良や品質向上に取り組む。蔵としての生産体制が安定する。

大正時代(1912〜1926年):

地域の農家と連携し、酒米の確保と品質向上に努める。食中酒としての評価を高める。

昭和前期(1926〜1945年):

戦時下の統制や原料不足の中でも酒造を継続し、蔵の伝統を守り抜く。

昭和後期(1945〜1989年):

戦後の需要拡大に合わせて生産量を増やし、銘柄の知名度を広げる。品質管理の強化も進む。

平成時代(1989〜2019年):

純米酒や山廃仕込みなど多様な酒質の開発に取り組み、国内外のコンテストで受賞を重ねる。国際的な評価が高まる。

令和時代(2019年〜):

伝統技術の継承と革新を両立し、環境配慮や地域連携を強化。世界市場にも積極的に展開し、八女を代表する蔵として存在感を高め続けている。

Data

生産者:株式会社 喜多屋

住所:福岡県八女市本町374

創業:1820年(文政3年)

TEL:0943-23-2154

URLhttps://www.kitaya.co.jp/ (喜多屋公式サイト・直接注文可)

特定名称:特別純米酒

原料米&精米歩合:麴米・掛米ともに山田錦60%

アルコール度数:15%

酵母:

日本酒度:+0

酸度: 1.9

容量:720ml(瓶)、1800ml(瓶)

 

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