庭のうぐいす 特別純米

にわのうぐいす とくべつじゅんまい

2026.05.25

米の旨味を素直に感じるやわらかな味わい

『庭のうぐいす 特別純米』は、福岡・久留米の蔵元が手がける、軽やかさと米の旨味を両立させた一本です。まず香りは、青リンゴや白い花を思わせるような爽やかな吟醸香が穏やかに立ち上がり、派手さよりも清楚で上品な印象を与えます。口に含むと、みずみずしい酸が心地よく広がり、米の柔らかな甘味と旨味がバランスよく調和します。特別純米らしいしっかりとした骨格を持ちながら、全体は軽快で飲み疲れしない仕上がりです。

後味はスッと切れがよく、食中酒としての完成度が高い点も特徴です。和食全般はもちろん、白身魚の刺身、塩焼き、出汁を使った料理との相性が抜群で、料理の味わいを邪魔せず引き立てます。冷酒では透明感が際立ち、常温では旨味がふくらむため、温度帯によって表情が変わるのも魅力です。

日常の食卓に寄り添いながらも、丁寧な造りの良さがしっかりと感じられる、清らかで優しい特別純米酒です。

■飲み方あれこれ!!

涼冷え(15℃):

青リンゴのような爽やかな香りが最もきれいに立ち、みずみずしい酸が引き締まった印象を与える温度帯です。透明感が際立ち、軽快で飲み疲れしない味わいが楽しめます。食中酒としての万能さも最も発揮されます。

常温(20℃):

米の旨味とやわらかな甘味がふくらみ、香りも穏やかに広がります。冷酒よりも味わいに厚みが出て、特別純米らしい骨格が感じられます。後味のキレも良く、料理との調和がより自然になります。

ぬる燗(40℃):

温めることで旨味がさらに丸くなり、酸が柔らかく溶け込んだ優しい味わいに変化します。香りは穏やかで、米のふくよかさが心地よく広がります。食事に寄り添う温かみのある飲み口が魅力です。

おすすめのマリアージュ

●白身魚の刺身:

青リンゴのような爽やかな香りとみずみずしい酸が、白身魚の繊細な旨味を邪魔せず引き立てます。後味のキレがよく、口中をすっとリセットしてくれる組み合わせです。

●出汁を使った煮物:

穏やかな旨味とやさしい甘味が、出汁の風味と自然に調和します。常温〜涼冷えで合わせると、酒のふくらみと料理の柔らかさが心地よく重なります。

●塩焼きの焼き魚:
軽快な酸と透明感のある味わいが、焼き魚の香ばしさと塩味をすっきりまとめます。後味の切れが良く、脂のある魚でも重くならず楽しめます。

▶「株式会社山口酒造場」のこと

「株式会社山口酒造場」は、福岡県久留米市北野町に蔵を構える老舗酒蔵で、その歴史は江戸時代の天保3年(1832年)に遡ります。創業者である五代目・山口利七が、有馬藩より酒造業の許可を得たことが酒蔵としての始まりとされ、もともと山口家は「古手屋」と呼ばれる商家として米や油、醤油、呉服などを扱う大きな商家でした。創業以前から地域に深く根ざした家業を営んでいた背景があり、酒造りもまた地域の恵みを活かした営みとして発展していきました。

酒名「庭のうぐいす」の由来は、六代目・山口利助の時代に、山口家の庭に天満宮からうぐいすが飛来し、湧き水で喉を潤す姿に感銘を受け、その清らかな水で酒造りを始めたことにあります。この湧き水は筑後川の伏流水であり、現在も仕込み水として使用されている重要な資源です。地域の自然と歴史が酒名と酒造りの精神に深く結びついている点が特徴的です。

酒造りの特徴としてまず挙げられるのは、「地元の素材を大切にする」という強いこだわりです。杜氏・古賀剛氏は、筑後地方の米と水を使うことを重視し、特に福岡県産の山田錦やレイホウを中心に使用しています。また、酒蔵そのものを冷蔵庫のように温度管理できる設備に改良し、季節に縛られず安定した酒造りを行えるようにした点も現代的な取り組みです。伝統を守りながらも、効率化や品質向上のための技術導入を積極的に行う姿勢が見られます。

さらに、「飲み飽きしない酒」「おかわりしたくなる酒」を目指す酒質設計が特徴的です。強烈なインパクトよりも、透明感の先にじわりと旨味が広がるような味わいを追求し、料理と調和する食中酒としての完成度を重視しています。これは、地域の食文化とともに楽しむ「地酒」としての在り方を大切にしている証でもあります。

また、山口酒造場は災害(1991年:台風17号・19号)による蔵・貯蔵蔵の甚大な損壊を経験しながらも、移転ではなく「この地の水と空気」にこだわり、蔵を建て直して酒造りを続けてきました。原料の個性が出やすい小規模仕込みへの転換や、自社田での酒米栽培など、地域とともに歩む姿勢が一貫しています。

このように「株式会社山口酒造場」は、300年近い商家としての歴史と、1832年から続く酒造業としての伝統を背景に、地元の素材と自然を尊重しながら、現代的な技術と柔軟な発想を取り入れた酒造りを続ける蔵元です。その精神は「庭のうぐいす」という銘柄に象徴され、地域文化とともに育まれた日本酒を今も世に送り出しています。

▶「株式会社山口酒造場」の歴史(年表)

1688年(元禄元年):

初代・與右衛門が「古手屋」として当地に移り住み、商家としての基盤を築く。

1777年(安永6年):

四代目・利平の代に屋号を「古手屋」とし、米・油・醤油・呉服などを扱う商家として栄える。

1832年(天保3年):

五代目・山口利七が有馬藩より酒造業の許可を得て、「株式会社山口酒造場」の酒造業としての創業が始まる。

1911年(明治44年):

六代目・山口利助が天皇陛下より贈従五位を叙勲される。

1924年(大正13年):

八代目・山口儀六が酒造業を拡大し、全国品評会への出品を多数行う。

1945年(昭和20年代):

九代目・山口正人の代、戦後の原料難の中で製造石数2000石となる。

1955年(昭和30年代):

大型設備を導入し、製造石数3000石へ増強する。

1975年(昭和50年):

大規模設備を排除し、純米酒を中心とした特定名称酒の製造へ転換する。

1991年(平成3年):

大型台風17号・19号により仕込蔵・貯蔵蔵が甚大な被害を受ける。移転を検討するも、後に現在地での再建を決断する。

1997年(平成9年):

米国向け輸出を開始し、海外展開が本格化する。

2004年(平成16年):

移転候補地で「甘水の名水」を紹介しつつも、蔵は移転せず現在地での酒造り継続を決定。十一代目・山口哲生が社長に就任。

2006年(平成18年):

創立175周年を迎え、母屋内に販売所「uguisubar」を開設。

2011年(平成23年):

「特撰梅酒うぐいすとまり 鶯とろ」が天満天神梅酒大会で日本一を受賞。

2018年(平成30年):

アメリカ向け輸出を再開し、非アルコール部門を分社化するなど事業を拡大。

2022年(令和4年):

組織変更により「合名会社山口酒造場」から「株式会社山口酒造場」へ移行。

Data

生産者:株式会社山口酒造場

住所:福岡県久留米市北野町今山534-1

創業:1832年(天保3年)

TEL:0942-78-2008

URLhttps://niwanouguisu.com (山口酒造場公式サイト・直接注文不可)

特定名称:特別純米酒

原料米&精米歩合:麴米・山田錦、掛米・夢一献60%

アルコール度数:15%

酵母:自社培養酵母

日本酒度:+3

酸度:1.5

容量: 720ml(瓶)、 1800ml(瓶)

 

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