飛良泉 山廃純米酒

ひらいづみ やまはいじゅんまいしゅ

2026.05.19

米の旨味がじわりと広がる深い味わい

『飛良泉 山廃純米酒』は、秋田最古の蔵元として知られる飛良泉本舗が手がける、伝統的な山廃仕込みの魅力をしっかりと感じられる一本である。山廃特有の複雑な酸と深い旨味が調和し、飲み進めるほどに味わいの層が広がるのが特徴だ。乳酸菌を自然に取り込む昔ながらの酒母づくりによって、骨太でありながらも透明感のある味わいが生まれ、蔵の技術と哲学がそのまま酒質に表れている。

口に含むと、まずは山廃らしいしっかりとした酸が立ち上がり、続いて米の旨味がじわりと広がる。酸は鋭すぎず、むしろ味わいを引き締める役割を果たし、全体のバランスを整えている。余韻にはほのかな苦味とコクが残り、食中酒としての存在感を強く感じさせる。香りは控えめで、穏やかな熟成香や米由来の落ち着いた香りが漂い、派手さよりも奥行きを重視した印象を与える。

「飛良泉 山廃純米酒」は、温度帯によって表情が大きく変わる点も魅力のひとつである。冷やでは酸が引き締まり、キレの良さが際立つ。常温では旨味がふくらみ、山廃らしい複雑さがより明確に感じられる。そして燗にすると、酸が柔らかく丸みを帯び、旨味が一層豊かに広がる。特に燗酒との相性が良く、料理との調和も深まるため、食卓でじっくり楽しむのに最適な酒といえる。

伝統製法を守りながらも現代の食文化に寄り添う「飛良泉 山廃純米酒」は、山廃仕込みの魅力を知るうえで欠かせない一本であり、飲むたびに蔵の歴史と技が感じられる味わい深い日本酒である。

■飲み方あれこれ!!

上燗(45℃):

酸と旨味のバランスが最も美しく整い、山廃らしい複雑さがふくらむ温度帯。角が取れ、米の甘みとコクが柔らかく広がり、余韻には心地よい酸が残る。料理との相性も幅広く、最もおすすめできる飲み方。

ぬる燗(40℃):

酸が穏やかに丸みを帯び、旨味がじんわりと広がる落ち着いた味わい。山廃特有の深みはそのままに、飲み疲れしない柔らかさが出る。香りもふくらみ、食中酒として非常に扱いやすい温度。

常温(20℃):

酸・旨味・苦味のバランスが素直に感じられ、酒本来の個性が最もストレートに伝わる。山廃らしい骨太さと落ち着いた香りが調和し、じっくり味わうほどに奥行きが増す。料理の味を邪魔せず寄り添う万能な表情。

おすすめのマリアージュ

●鰤の照り焼き:

山廃らしいしっかりとした酸が、脂の乗った鰤の旨味と甘辛いタレを引き締める。後味が重くならず、旨味の層がより深く感じられる組み合わせ。

●きのこのバター醤油炒め:

香ばしいきのこの旨味とバターのコクに、酸が心地よく寄り添い、味わいを立体的にする。山廃の複雑さが料理の香りと調和し、余韻が長く続く。

●牛すじ煮込み:

濃厚な旨味を持つ煮込み料理に対し、骨太な酸とコクがしっかりと受け止める。温度が上がるほど酒の旨味がふくらみ、料理との一体感が増す。

●燻製チーズ:

穏やかな熟成香と山廃の酸が、燻製の香りと相性抜群。コクのあるチーズを重たくせず、後味をすっきりまとめる。

▶「飛良泉本舗」のこと

「飛良泉本舗」は、1487年(長享元年)に創業した、日本でも最古級の歴史を持つ酒蔵であり、秋田県にかほ市で五百年以上にわたり酒造りを続けてきた老舗である。創業当初から、鳥海山の伏流水と良質な米を生かした酒造りを行い、地域に深く根ざした蔵として発展してきた。代々の当主は、時代の変化に合わせて技術を磨きつつも、伝統的な酒造りの精神を守り続け、長い歴史の中で培われた蔵の個性を現在まで受け継いでいる。

江戸時代には、藩の御用酒屋としての役割を担い、品質の高さが広く知られるようになった。明治以降は近代的な設備を導入しながらも、手仕事を重んじる姿勢を崩さず、地域の気候や風土に適した酒造りを追求してきた。特に、秋田の厳しい寒さを利用した低温発酵は、飛良泉の酒質を形づくる重要な要素となり、清らかで奥行きのある味わいを生み出す基盤となっている。

同社の酒造りの大きな特徴は、山廃仕込みを中心とした伝統的な酒母づくりにある。自然の乳酸菌を取り込みながら育てる山廃酒母は、手間も時間もかかるが、複雑な酸と深い旨味をもたらす。「飛良泉」はこの製法を長く守り続け、現代においても蔵の象徴的なスタイルとして確立している。山廃特有の骨太な酸と、米の旨味がしっかりと感じられる酒質は、食中酒としての存在感が強く、料理との相性の良さでも高く評価されている。

また、近年は伝統を守るだけでなく、新たな挑戦にも積極的である。原料米の選定や発酵管理の精度を高め、山廃の魅力をより現代的に表現する取り組みを進めている。香りを抑えつつ味わいに奥行きを持たせる設計や、温度帯によって表情が変わる酒質づくりなど、蔵の哲学が随所に反映されている。

五百年以上の歴史を持ちながら、伝統と革新を両立させる姿勢こそが、「飛良泉本舗」の最大の魅力である。長い年月をかけて磨かれた技と、現代の感性を取り入れた酒造りが融合し、唯一無二の山廃酒を生み出し続けている。

▶「飛良泉本舗」の歴史(年表)

1487年(長享元年):

「飛良泉本舗」が現在の秋田県にかほ市で創業。鳥海山の伏流水を生かした酒造りを始め、地域に根差した蔵として歩みをスタートする。

江戸時代(1603〜1868年):

藩の御用酒屋(※)として酒を納め、品質の高さが広く知られるようになる。地域の信頼を得て、蔵の基盤を確立する。

⇒藩の御用酒屋(※)

〇江戸時代には藩の御用酒屋として酒を納めていた記録が残っており、当時から品質の高さが認められていた。格式ある蔵としての立場は、現在のブランド価値にもつながっている。

明治期(1868〜1912年):

近代的な設備を導入しつつ、手仕事を重んじる伝統を維持。秋田の寒冷な気候を生かした低温発酵が酒質の特徴として定着する。

大正期(1912〜1926年):

生産体制の整備を進め、安定した品質の酒造りを確立。地域の食文化とともに発展し、蔵の存在感を高める。

昭和前期(1926〜1945年):

戦時下の統制や原料不足の影響を受けながらも、酒造りを継続。伝統製法を守り、蔵の存続に尽力する。

昭和後期(1945〜1989年):

戦後復興とともに設備を再整備し、山廃仕込みを中心とした酒造りを強化。複雑な酸と旨味を持つ酒質が評価され、全国に名が知られるようになる。

1990年代:

山廃仕込みの魅力を再評価し、蔵の象徴的なスタイルとして確立。原料米の選定や発酵管理の精度を高め、品質向上に取り組む。

2000年代:

伝統を守りながら現代的な酒質設計を導入。香りを抑えつつ味わいに奥行きを持たせる方向性を強め、食中酒としての評価が高まる。

2010年代:

山廃仕込みの技術をさらに深化させ、蔵の個性を明確に打ち出す。全国的な日本酒ブームの中で、伝統と革新を両立する蔵として注目を集める。

2020年代:

五百年以上の歴史を背景に、現代の食文化に寄り添う酒造りを展開。山廃の複雑さと透明感を両立させた酒質が高く評価され、「飛良泉本舗」は日本最古級の蔵として今も進化を続けている。

Data

生産者:飛良泉本舗(株式会社飛良泉本舗)

住所:秋田県にかほ市平沢字中町59

創業:1487年(長享元年)

TEL:0184-35-2031

URLhttps://www.hiraizumi.co.jp/ (飛良泉本舗公式サイト・直接注文不可)

特定名称:純米酒

原料米&精米歩合:麴米・掛米ともに美山錦(74%)・秋田酒こまち(26%)60%

アルコール度数:15%

酵母: 自社培養酵母

日本酒度:+2.0

酸度:1.9

容量: 720ml(瓶)、1800ml(瓶)

 

【広告】楽天/日本酒通販

 

【広告】Amazon/日本酒通販

 

・ご指定以外の商品も表示されます。

・お酒は二十歳になってから。