〇蒸留所は、大小30以上の滝を擁する尾鈴山の奥深くに位置し、森と清流に囲まれた“人里離れた聖域”のような場所にあります。創業者が「良質な水を求めて山奥へ」と決断した結果、仕込み水には水源地に近い超軟水が使われ、焼酎に繊細でやわらかな味わいをもたらしています。

〇尾鈴山蒸留所では、焼酎造りで培った蒸留技術を応用し、クラフトジン「OSUZU GIN」やウイスキーの製造にも挑戦しています。特に「OSUZU GIN」は、芋焼酎「山ねこ」をベースに、地元産の柑橘類や椎茸、山椒などを漬け込んだ香り豊かなスピリッツとして、東京を中心に多くの飲食店で扱われる人気商品となっています。ウイスキー事業への参入は、先代社長がスコットランドの「エドラダワー蒸留所」を訪れた際、「こんな山奥の小さな蔵でもウイスキーが造れるなら、うちでもできるはず」と感じたことがきっかけでした。この直感が、尾鈴山蒸留所の新たな挑戦を後押ししたのです。

1998年（平成10年）：

「株式会社黒木本店」の別蔵として、宮崎県児湯郡木城町の尾鈴山の麓に「株式会社尾鈴山蒸留所」が設立される。自然豊かな環境を活かし、焼酎造りに最適な水と空気を求めてこの地が選ばれた。

1998年（平成10年）：

芋焼酎「山ねこ」、麦焼酎「山猿」、米焼酎「山翡翠」など、自然と調和した焼酎シリーズの製造を開始。木桶仕込みや手作業による麹造りなど、伝統的な技法を重視した酒造りが特徴となる。

2019年（令和元年）：

新たな挑戦としてウイスキー造りを開始。焼酎造りで培った蒸留技術を応用し、銅製スチルや宮崎県産杉材の発酵槽を用いた本格的なウイスキー製造に着手する。

2020年代（令和時代）：

クラフトジン「OSUZU GIN」が全国的に人気を集める。地元産の柑橘類や椎茸、山椒などを使用し、尾鈴山の自然を香りで表現したスピリッツとして注目される。

現在：

焼酎・ジン・ウイスキーと多彩な蒸留酒を手がけながらも、自然との共生を軸にした酒造りを貫いている。原料栽培から製造、環境保全までを一体化した取り組みが国内外で高く評価されている。