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Château Haut-Brion
1855年ボルドー格付け 第1級
2025.08.27

500年の伝統が息づく唯一無二のグラーヴ第1級
『シャトー・オー・ブリオン』は、フランス・ボルドー地方グラーヴ地区に位置する、世界的に名高い赤ワインの銘醸シャトーです。1855年のメドック格付けにおいて、唯一メドック地区外から第1級に選ばれたという特異な歴史を持ち、ボルドー5大シャトーの一角を担っています。その存在は、単なるワインの枠を超え、フランスの外交史にまで影響を与えた逸話も残されています。ナポレオン戦争後のウィーン会議では、フランス外相タレーランがこのワインを用いて各国代表をもてなし、結果としてフランスは領土をほとんど失わずに済んだと伝えられています。
味わいの特徴として、「シャトー・オー・ブリオン」はエレガント、シルキー、香り高いといった表現がよく用いられます。カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの比率が拮抗しており、年によってはメルローの比率が高くなることもあります。そのため、他の5大シャトーに比べてタンニンが穏やかで、若いうちからでも楽しめる柔らかさと親しみやすさを備えています。ブラックベリーやプラムの果実香に加え、インクや鉛筆の芯のようなグラファイトのニュアンスが重層的に重なり、複雑で深みのあるアロマを形成します。口当たりはシルクのように滑らかで、余韻は長く、飲む者に静かな感動を与えるでしょう。
また、「シャトー・オー・ブリオン」は技術革新にも積極的で、澱引き(スーティラージュ)や補酒(ウイヤージュ)などの醸造技術を世界で初めて導入したシャトーとしても知られています。ボルドーで最も早くステンレスタンクを導入したこともあり、合理性と品質の両立を追求する姿勢がうかがえます。
そのスタイルは、派手さよりも芯の通った気品を重視する「貴族的な風格」と評され、他のシャトーとは一線を画す孤高の存在感を放っています。熟成にも耐えうるポテンシャルを持ちつつ、若いうちからでもその魅力を十分に堪能できる稀有なワイン。まさに、歴史・技術・味わいの三拍子が揃った、ボルドーの芸術品と言えるでしょう。
■飲み方あれこれ
ヴィンテージに応じた熟成確認:
若いヴィンテージ(例:2015年以降)は、デキャンタージュで香りを開かせると良い。熟成されたヴィンテージ(例:1989、2000、2005など)は、抜栓後すぐに香りが広がるため、デキャンタージュは控えめに。
適温での提供:
16〜18℃が理想。冷やしすぎると香りが閉じてしまい、温めすぎるとアルコール感が強くなる。
白ワイン(シャトー・オー・ブリオン・ブラン):10〜12℃で、繊細な香りを楽しめる。
グラス選び:
ボルドー型の大ぶりなグラスがおすすめ。空気との接触面が広く、複雑な香りが立ち上がりやすい。
料理とのペアリング:
トリュフを使った料理、ローストビーフ、鴨のコンフィなど、香りと旨味の深い料理と好相性。
飲み頃のタイミング:
飲み頃はヴィンテージによって異なりますが、グレートヴィンテージは30年以上熟成に耐えるポテンシャルがあります。(例:1989年、2000年、2016年などは特に評価が高く、今まさに飲み頃のピークを迎えている可能性があります。)
▶「シャトー・オー・ブリオン」のこと
「シャトー・オー・ブリオン」は、フランス・ボルドー地方グラーヴ地区に位置する、世界屈指の名門ワイナリーです。その歴史は非常に古く、最も古い記録では1423年にすでにブドウ畑が存在していたことが確認されています。現在のシャトーは1533年、ジャン・ド・ポンタックによって創設され、以降ポンタック家が200年以上にわたり所有。彼らはワイン造りに革新をもたらし、オー・ブリオンの名声を築き上げました。
特筆すべきは、「シャトー・オー・ブリオン」がワインの品質向上において先駆的な役割を果たした点です。例えば、樽熟成中に蒸発したワインを補充する「ウイヤージュ」や、澱を取り除く「スーティラージュ」といった技術をいち早く導入。これらは現在の高級ワイン造りにおいて不可欠な工程ですが、当時はまだ一般的ではありませんでした。また、オー・ブリオンはワインを特定のシャトー名で販売した最初の例ともされており、ブランドとしてのワインの概念を確立した存在でもあります。
1855年のボルドー格付けでは、メドック地区のワインが中心に選ばれる中、唯一グラーヴ地区から例外的に第1級に格付けされたのがシャトー・オー・ブリオンでした。これは、品質・価格・名声のすべてにおいて他を圧倒していた証です。ボルドー市街地に近い立地も流通面で有利に働き、早くから国際的な評価を得ることができました。
ワイン造りにおいても、「シャトー・オー・ブリオン」は常に革新を続けています。1961年には五大シャトーの中で初めてステンレスタンクによる発酵を導入。醸造責任者のジャン=ベルナール・デルマスは、果汁と果帽の接触を最大化するために独自のタンク形状を開発し、より豊かな抽出を実現しました。また、クローン研究にも力を入れており、畑の土壌に最適なブドウ品種を選定することで、品質の安定と向上を図っています。
現在、「シャトー・オー・ブリオン」の畑は約51ヘクタール。赤ワイン用にはメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドが栽培され、白ワイン用にはセミヨンとソーヴィニヨン・ブランが使われています。赤はエレガントで複雑な香りとシルキーな口当たりが特徴で、白はボルドー最高峰の辛口白ワインとして知られています。
「シャトー・オー・ブリオン」は、歴史・技術・芸術性のすべてを兼ね備えた、まさに“飲む文化遺産”とも言える存在です。ワインの世界において、その名は今もなお輝き続けています。
▶ シャトー・オー・ブリオンの歴史(年表)
1423年:
この地にブドウ畑が存在していた最古の記録が残る。
1525年:
ジャン・ド・ポンタックがジャンヌ・ド・ベロンと結婚し、持参金としてオー・ブリオンの土地を取得。
1533年:
ジャン・ド・ポンタックが正式にシャトーを購入。
1549年:
現在のシャトーの建設が始まる。
1649年:
アルノー3世・ド・ポンタックが所有者となり、ワイン造りの革新を推進。
1660年〜1661年:
イングランド王チャールズ2世の宮廷に「Hobrionoのワイン」が納品される。
1663年:
サミュエル・ピープスが日記で「Ho Bryen」というワインを絶賛
1666年:
ロンドンに「ポンタックの看板」という居酒屋を開業し、ブランド力を高める。
1787年:
トーマス・ジェファーソンがオー・ブリオンを訪問し、6ケースを購入。
1794年:
フランス革命の影響で所有者ジョゼフ・ド・フュメルが処刑される。
1801年:
タレーランがシャトーを購入し、3年間所有。
1836年:
ジョゼフ=ウージェーヌ・ラリューがシャトーを競売で購入。
1855年:
ボルドー格付けで唯一グラーヴ地区から第1級に選ばれる。
1923年:
ラリュー家による所有が終了。
1961年:
五大シャトーで初めてステンレスタンクによる発酵を導入(※)。
2007年:
セカンドワインの名称が「ル・クラランス・ド・オー・ブリオン」に変更。
■五大シャトーで初めてステンレスタンクによる発酵を導入(※)
1961年、オー・ブリオンは五大シャトーの中で初めてステンレスタンクによる発酵を導入しました。当時の醸造責任者であるジャン・ベルナール・デルマス氏が中心となり、伝統的な木製タンクからの脱却を図りました。ステンレスタンクは温度管理がしやすく、衛生面でも優れている一方、果帽(果皮や種子)との接触が減るという課題がありました。そこでデルマス氏は、果汁と果帽の接触面積を最大化するために、太くずんぐりとした形状のタンクを設計。この形状により、抽出効率を高めつつ、温度管理の精度も向上させることができました。シャトー・オー・ブリオンの成功により、ステンレスタンクの有効性が広く認知され、他の一流シャトーも徐々に導入。現在では、温度制御や衛生管理の観点から、ステンレスタンクは高品質ワイン造りのスタンダードとなっています。
Data
生産者: ドメーヌ・クラレンス・ディロン
生産地: ボルドー地方/グラーヴ地区/ペサック
創業年: 1525年
URL: -
使用品種: メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン
アルコール度数: 約14%(ヴィンテージやタイプにより若干異なる)
容量: 750ml
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