Chimay Rouge
最も歴史が古いシメイ
『シメイ レッド』は、シメイの中で最も歴史が古く元祖といわている。名称はレッド(ルージュ)だが、種類はブラウンビールにあたり、ラベルにも「BROWN」と記載されている。苦味と甘味のバランスがとれているため、シメイの中では最も万人向けとされる。
干しぶどう、アプリコットのようなフルーティな香りとカラメルのような香りが特徴。容量は330mlと750mlの2種類で、750mlは「プルミエール」と称される。飲み頃は14℃くらい。
・スモークモン修道院のこと
ブリュッセルから2時間ほどの、フランスとの国境に近いエノー州の南端に位置するスクールモン修道院。創設は1850年、トラピスト修道士たちが、シメイ近郊のスクールモンという丘陵地に修道院を建設したのが始まり。1862年には、修道院内に湧く良質な地下水を使いビール醸造を始めている。当初は、地域の失業者を雇用する目的であったといわれ、1876年からはチーズの製造も始められた。
第二次大戦でビール造りは一旦中断されたが、終戦後すぐに再開される。その際に、コンサルタントとして醸造学者のジャン・ド・クレルク教授が招かれ、1948年に、クリスマスビールとして『シメイ・ブルー』を醸造。1966年、当時の醸造主任だったテオドール神父の手により『シメイ・トリプル(ホワイト)』の生産を開始する。
「トラピストビール」とは?
トラピストビールとは、ビールのスタイルのことではなく、トラピスト会の修道院でつくられるビールの統制呼称のことをいい、世界中に171ヶ所あるトラピスト会修道院のなかで11か所(2021年時点)のみで生産が認められています。
1962年、ベルギーの貿易通商裁判所により法的に認証された称号で、ベルギーにある醸造所で6か所、他にはオランダに2ヵ所、オーストリア、イタリア、アメリカ、イギリスにそれぞれ 1ヵ所ずつ存在します。
修道院でビール醸造が行われた理由として、中世ヨーロッパでは幾度となくペスト等の伝染病の流行により生水は引用に適さず、ワインやビールなどが安全な代用飲料として重宝されていました。それに修道士が断食期間中であっても、水分の補給だけは許されていたのでカロリーの高いビールなどが飲まれていました。その外にも「パンはキリストの肉、ワインは血」、「ビールは液体のパン」といった考えから、キリスト教の修道院では盛んにワインやビールが造られていました。
1997年にはトラピスト会修道士協会(ITA)が設立、厳しい基準が設けられ、その基準を満たしたビールだけが「Authentic Trappist Product」の文字の入った六角形ロゴマークの使用が認められています。
その基準を簡単に記すと、
① トラピスト会修道院の敷地内の設備により、修道士の監督の元で醸造されたものでなければならない。
② 醸造所、醸造銘柄の選択等は修道院内のコミュニティーにより決定されたものでなければならない。
③ 営利目的としてのビール醸造は厳禁。得た利益は修道院のメンテナンス等の運営費用に充てられ、残額は慈善団体に寄付するといった、社会貢献事業に使わなければならない。
というものです。
現在、世界にトラピスト会修道院は171あり、そのうち11ヶ所でのみトラピストビールが生産されている(2021年時点)。
・オルヴァル(ベルギー・オルヴァル修道院)
・シメイ(ベルギー・スクールモン修道院)
・ロシュフォール(ベルギー・サン・レミ修道院)
・ウェストマール(ベルギー・聖心ノートルダム修道院)
・ウエストフレテレン(ベルギー・シント・シクステュス修道院)
・アヘル(ベルギー・アヘル修道院)
・ラ・トラップ(オランダ・コニングスホーヴェン修道院)
・ズンデルト(オランダ・アブダイ・マリア・トゥーフルフト修道院)
・グレゴリウス(オーストリア・スティフト・エンゲルスツェル修道院)
・スペンサー(アメリカ・セントジョゼフ修道院)
・トレフォンターネ(イタリア・トレフォンターネ修道院)
Data
製造元:スモークモン修道院
スタイル: トラピスト(上面発酵)
原料: 大麦麦芽、小麦麦芽、ホップ、糖類
アルコール度数:7.0%
内容量:330ml、750ml
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