Westmalle Tripel
トリプルの代名詞となったトラピストビール
『ウエストマール トリプル』をグラスに注ぐと、きめの細やかな泡が立ち、口に含むとまろやかな口当たりとともにバナナやクローブ、柑橘系のフルーティな香りが広がるトラピストビール。ホップとモルトとのバランスも絶妙で、軽くスパイシー。甘味、旨味、苦味のバランスが整った複雑な味わい。
院内で汲み上げた地下水と大麦麦芽を使い、キャンディシュガーを液化して投入。一次発酵を済ませると二次発酵に5週間、瓶詰めされた後21℃に温度管理された貯蔵室で3週間ほど熟成させる。オレンジがかった黄金色で、見た目はゴクゴク飲めそうな気もするが、アルコール度数は9.5%と白ワインと余りかわらない。
この黄金色のトリプルは人気を呼び、同じようなトリプルを造る醸造所が多数現れたため「トリプル=色が淡くアルコール度数が高い」という認識が広まり、「トリプルの元祖」、「トリプルの母」とも呼ばれている。現在流通しているのはこの『ウエストマール トリプル』と濃いブラウンの『ダブル』だが、生産量を増やさないため入手が難しくなっている。飲み頃温度は8~14℃くらいで、温度変化とともに変わる香りを楽しみながら、じっくりと時間をかけて飲みたい。
・聖心ノートルダム(ウェストマール)修道院のこと
アントワープの郊外、アントウェルペン州の北に位置する聖心ノートルダム(ウェストマール)修道院は、美しい森の中に佇むように建っている。12世紀頃に建てられ、当時は100人くらいの人が住んでいたといわれる。
1794年にウェストマール修道院が設立されるが、その直後のフランス軍による侵攻により修道院は放棄される。1802年に修道士が戻り再建されるが、ナポレオンがトラピスト会修道院を閉鎖する法律を布告、再び1811~1814年までの間放棄されることになる。
1836年にトラピスト会修道院となり、マルティナス・ドム修道院長が醸造所の建設を始めた。修道士の自給自足のためビール醸造を開始、1870年にはウェストマール村に限り販売が始められた。その後、年々需要が高まり1865年と1897年後半には醸造所の拡張をしている。
1921年からは収益事業として一般への販売も本格的に始められ、1930年代には、醸造所や発酵室、作業場がつくられ、そのいくつかの建物は現在も使われている。1934年には、『ウェストマール・トリプル』の製造が開始される。
「トラピストビール」とは?
トラピストビールとは、ビールのスタイルのことではなく、トラピスト会の修道院でつくられるビールの統制呼称のことをいい、世界中に171ヶ所あるトラピスト会修道院のなかで11か所(2021年時点)のみで生産が認められています。
1962年、ベルギーの貿易通商裁判所により法的に認証された称号で、ベルギーにある醸造所で6か所、他にはオランダに2ヵ所、オーストリア、イタリア、アメリカ、イギリスにそれぞれ 1ヵ所ずつ存在します。
修道院でビール醸造が行われた理由として、中世ヨーロッパでは幾度となくペスト等の伝染病の流行により生水は引用に適さず、ワインやビールなどが安全な代用飲料として重宝されていました。それに修道士が断食期間中であっても、水分の補給だけは許されていたのでカロリーの高いビールなどが飲まれていました。その外にも「パンはキリストの肉、ワインは血」、「ビールは液体のパン」といった考えから、キリスト教の修道院では盛んにワインやビールが造られていました。
1997年にはトラピスト会修道士協会(ITA)が設立、厳しい基準が設けられ、その基準を満たしたビールだけが「Authentic Trappist Product」の文字の入った六角形ロゴマークの使用が認められています。
その基準を簡単に記すと、
① トラピスト会修道院の敷地内の設備により、修道士の監督の元で醸造されたものでなければならない。
② 醸造所、醸造銘柄の選択等は修道院内のコミュニティーにより決定されたものでなければならない。
③ 営利目的としてのビール醸造は厳禁。得た利益は修道院のメンテナンス等の運営費用に充てられ、残額は慈善団体に寄付するといった、社会貢献事業に使わなければならない。
というものです。
現在、世界にトラピスト会修道院は171あり、そのうち11ヶ所でのみトラピストビールが生産されている(2021年時点)。
・オルヴァル(ベルギー・オルヴァル修道院)
・シメイ(ベルギー・スクールモン修道院)
・ロシュフォール(ベルギー・サン・レミ修道院)
・ウェストマール(ベルギー・聖心ノートルダム修道院)
・ウエストフレテレン(ベルギー・シント・シクステュス修道院)
・アヘル(ベルギー・アヘル修道院)
・ラ・トラップ(オランダ・コニングスホーヴェン修道院)
・ズンデルト(オランダ・アブダイ・マリア・トゥーフルフト修道院)
・グレゴリウス(オーストリア・スティフト・エンゲルスツェル修道院)
・スペンサー(アメリカ・セントジョゼフ修道院)
・トレフォンターネ(イタリア・トレフォンターネ修道院)
Data
製造元:聖心ノートルダム(ウェストマール)修道院
スタイル: トラピスト(上面発酵)
原料: 麦芽、ホップ、糖類(キャンディーシュガー)
アルコール度数: 9.5%
内容量:330ml
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