オルヴァル

Orval

オルヴァル

神話から生まれた修道院が醸すトラピストビール

『オルヴァル』は、ベルギーに現存する6つのトラピストビールのひとつ。オルヴァル修道院で造られるビールは2種類だが、一つは自家消費用で、流通される銘柄は『オルヴァル』のみとなっている。こだわりの醸造を行っており、まずロースト具合の異なる麦芽(ペールモルトに少量のカラメルモルトをブレンド)で造られた麦汁に、ホップ、キャンディーシュガー(氷砂糖)を加えて一次発酵を行う。

二次発酵時に、乾燥アロマホップ(バイエルン地方ハラタウ種とユーゴスラビアのゴールデン種)を袋に入れ一緒に漬け込ませる。ドライホッピングといわれる手法だが、もともとはイギリスが発祥である。1931年の醸造再開時に、招聘されたドイツ人のパッペンハイメルと、ベルギー人のオノレ・ヴァン・ザンデの2人の醸造士によってそれまであまり知られていなかったこの技術が取り入れられた。

三次発酵は瓶内で行い、その際にキャンディーシュガーとブレタノミセスという野生酵母のほか、ブレンドされた酵母が加えられる。 色はオレンジがかった濃いめのアンバーで、ドライホッピングによる香りが強烈な個性をみせる。オレンジやレモン、リンゴのようなフルーティな香りと、苦味も強く、出荷された後も熟成をするので、その具合によっても味わいは異なるが、それもまた楽しみの一つ。

ベルギービールを世に知らしめたビール評論家マイケル・ジャクソンは、『オルヴァル』に最高ランクの評価を与えている。 飲み頃は12~14℃くらいで。

 

・オルヴァル修道院のこと

オルヴァル修道院は、ベルギー南東部のアルデンヌと呼ばれる森林地帯の奥に佇むように建ち、その脇には廃墟となった修道院跡が現在も残されている。 始まりは1076年。イタリアからベネディクト派の修道士たちが招かれ、オルヴァル修道院の設立が始められる。イタリア・トスカーナ地方のマチルド・トスカニー伯爵夫人による建設費の基礎資金提供がなされ、1124年に完成する。1132年には、フランスからシトー会の修道士たちが合流。1252年に火災により消失するが、およそ100年の歳月をかけて再建される。

オルヴァル修道院

■オルヴァル修道院

その後、1637年には30年戦争の際に掠奪されてしまい、さらに1793年、フランス革命の際には、軍により再び消失させられてしまう。その後、再建が始まるのは1926年からで、1931年には建設資金調達のためビール醸造が始まり、翌年より販売が開始される。1948年、ついに現在に続く新しい修道院が完成しました。

 

 

黄金の谷の伝説

オルヴァル ラベル

『オルヴァル』のラベルには、リングをくわえた魚の絵が描かれている。『オルヴァル』には伝説があり、1076年頃醸造所周辺を治めていた、イタリアのトスカーナ地方のマチルド・トスカニー伯爵夫人が、泉のほとりで休息をとっていたところ、亡夫の形見である指輪をあやまって泉に落としてしまったという。

悲嘆にくれた婦人は、聖母マリアに祈りを捧げ、「指輪がかえってきたならば、この地に立派な修道院を建てます」と懇願したところ、指輪を加えた鱒が泉から現れたという。婦人は「ここは黄金の谷(Val d'Or)だわ)」と大いに喜び、このことから、この一帯をオルヴァル(Orval)と呼ぶようになり、約束通り建てられたのがオルヴァル修道院といわれている。

 

「トラピストビール」とは?

トラピストビールとは、ビールのスタイルのことではなく、トラピスト会の修道院でつくられるビールの統制呼称のことをいい、世界中に171ヶ所あるトラピスト会修道院のなかで11か所(2021年時点)のみで生産が認められています。

1962年、ベルギーの貿易通商裁判所により法的に認証された称号で、ベルギーにある醸造所で6か所、他にはオランダに2ヵ所、オーストリア、イタリア、アメリカ、イギリスにそれぞれ 1ヵ所ずつ存在します。

修道院でビール醸造が行われた理由として、中世ヨーロッパでは幾度となくペスト等の伝染病の流行により生水は引用に適さず、ワインやビールなどが安全な代用飲料として重宝されていました。それに修道士が断食期間中であっても、水分の補給だけは許されていたのでカロリーの高いビールなどが飲まれていました。その外にも「パンはキリストの肉、ワインは血」、「ビールは液体のパン」といった考えから、キリスト教の修道院では盛んにワインやビールが造られていました。

トラピストビールのロゴマーク

1997年にはトラピスト会修道士協会(ITA)が設立、厳しい基準が設けられ、その基準を満たしたビールだけが「Authentic Trappist Product」の文字の入った六角形ロゴマークの使用が認められています。
その基準を簡単に記すと、

① トラピスト会修道院の敷地内の設備により、修道士の監督の元で醸造されたものでなければならない。
② 醸造所、醸造銘柄の選択等は修道院内のコミュニティーにより決定されたものでなければならない。
③ 営利目的としてのビール醸造は厳禁。得た利益は修道院のメンテナンス等の運営費用に充てられ、残額は慈善団体に寄付するといった、社会貢献事業に使わなければならない。

というものです。

現在、世界にトラピスト会修道院は171あり、そのうち11ヶ所でのみトラピストビールが生産されている(2021年時点)。

・オルヴァル(ベルギー・オルヴァル修道院)
・シメイ(ベルギー・スクールモン修道院)
・ロシュフォール(ベルギー・サン・レミ修道院)
・ウェストマール(ベルギー・聖心ノートルダム修道院)
・ウエストフレテレン(ベルギー・シント・シクステュス修道院)
・アヘル(ベルギー・アヘル修道院)
・ラ・トラップ(オランダ・コニングスホーヴェン修道院)
・ズンデルト(オランダ・アブダイ・マリア・トゥーフルフト修道院)
・グレゴリウス(オーストリア・スティフト・エンゲルスツェル修道院)
・スペンサー(アメリカ・セントジョゼフ修道院)
・トレフォンターネ(イタリア・トレフォンターネ修道院)

 

Data

製造元:オルヴァル修道院

スタイル: トラピスト(上面発酵)

原料: 麦芽、ホップ、糖類

アルコール度数: 6.2%

内容量:330ml

 

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