八戸酒類株式会社は、戦時下の企業整備令により、独立していた５つの蔵を1944（昭和19）年に会社組織に統合した、いわば酒蔵の集合体。五戸工場は前身である5つの蔵のうちの一つで、もともとは800年の歴史を持つ麹屋だった。

前身の旧河内屋橋本合名会社が事務所として使っていた、ロシア風建築にアール・デコ調を取り入れた建物は、1998年 (平成10年) に国の登録有形文化財となっている。

仕込み水には、十和田湖の外輪山（二十またはそれ以上の複合火山の火口縁）として名高い戸来岳が源流の蔵井戸の水を使い、原料米には雄町、山田錦、華想いなどを使用。自然豊かで清涼な空気、長年受け継がれてきた麹作りの技術を結集して酒造りに励んでいる。醪を低温で発酵させ深い味わいを出す長期低温発酵と、高い吟醸香を出す協会10号酵母を使用することにこだわりがある。

かつては「陸奥 男山（むつ おとこやま）」・「菊駒（きくこま）」の各銘柄を製造していたが、地元の他の酒造会社各社などから銘柄に対する商標使用差し止め問題が相次ぎ、2007（平成19）年6月「陸奥　男山」は「蔵物語」に、「菊駒」は「如空」はそれぞれ銘柄変更をしている。