やちよ
2025.11.23
黒糖の甘みと力強いコクの融合
黒糖焼酎『八千代』は、奄美大島の老舗蔵「西平本家」が造る、伝統と技術が息づく本格焼酎です。かめ壺仕込みと常圧蒸留、そして“半麹”という独自製法によって、黒糖の甘みと香りを最大限に引き出した、まろやかで奥深い味わいが特徴です。
「八千代」は、黒糖焼酎の中でも特に伝統的なスタイルを守り続けている銘柄で、原料には国内製造の黒糖と国産米の米麹を使用しています。麹には黒麹を採用し、一次仕込みと二次仕込みで麹の管理時間を変える“半麹”製法を用いることで、糖化の速度を調整し、より丸みのある甘さと旨味を引き出しています。
仕込みには呼吸性と保温性に優れたかめ壺を使用し、発酵の過程で微細な温度変化を活かしながら、複雑で豊かな香味を育てます。蒸留は常圧方式で行われ、素材の個性をしっかりと残した力強い味わいに仕上がります。ひと口目にはスイカのような爽やかな香りが立ち、飲み進めると黒糖のやさしい甘みが広がるという、香りの変化も楽しめる焼酎です。
アルコール度数は30度で、ロックやお湯割り、水割りなど、さまざまな飲み方に対応。特にお湯割りでは、黒糖の甘みがふわりと広がり、料理との相性も抜群です。透明感のある味わいは、食中酒としても優れており、焼酎初心者にも親しみやすい一本です。
「八千代」は、かつて泡盛として販売されていた歴史を持ち、ラベルにはその名残として泡盛壺と奄美の海辺の写真が描かれています。西平本家の創業以来の精神と技術が詰まったこの焼酎は、奄美の風土と文化を感じさせる、まさに“時を超えた味わい”です。
■飲み方あれこれ!!
お湯割り：
黒糖の香ばしさと甘みがふわりと立ち上がり、まろやかでやさしい口当たりに。寒い季節には特に心地よく、余韻にほんのりとしたコクが残る。
ロック：
冷たさで香りが引き締まり、黒糖の甘みと爽やかな風味が際立つ。氷が溶けるにつれて味わいが変化し、ゆっくりと楽しめる一杯。
前割り：
あらかじめ水で割って寝かせることで、角が取れたまろやかさが生まれる。黒糖の旨味がより滑らかに広がり、食中酒としても優れたバランスを見せる。
▶「株式会社西平本家」のこと
「株式会社西平本家」（※）は、大正14年（1925年）創業の奄美黒糖焼酎の老舗蔵であり、奄美の風土と文化を背景に、伝統的な焼酎造りを守り続ける酒造会社です。
⇒「株式会社西平本家」（※）
〇「株式会社西平本家」は、写真家・作家の島尾伸三氏による小説『ケンムンの島』に登場する「ニシピーラ酒造」のモデルとされています。この作品では、「ニシピーラ酒蔵のセヘ（奄美焼酎）は世界一の蒸留酒」と誇らしげに描かれており、地元住民の暮らしに酒蔵が密接に関わっていた様子が生き生きと表現されています。これは、西平本家が奄美の文化的アイコンとして長年親しまれてきた証でもあります。
初代・西平守常氏が沖縄から喜界島へ渡り、泡盛の酒造場として創業したのが始まりです。昭和2年（1927年）には奄美市（旧名瀬市）へ移転し、以来同じ地で焼酎造りを続けています。昭和31年（1956年）には法人化され、「株式会社西平本家」として新たな歩みを始めました。創業当初からの銘柄「八千代」は、現在も看板商品として親しまれています。
焼酎造りの最大の特徴は、伝統的な「半麹三段仕込み」製法です。一次仕込みでは約40時間管理した麹を使用し、二次仕込みでは「半麹」と呼ばれる約20時間管理の麹を加えます。三次仕込みで溶かした黒糖を加え、ホーロータンクで発酵させることで、糖化速度を調整し、麹の旨味を最大限に引き出します。この手間のかかる製法により、まろやかで奥深い味わいの黒糖焼酎が生まれます。
さらに、蒸留には蔵独自の「単式常圧蒸留機 可変式三方弁」を使用しています。通常の蒸留機が一本のラインアームを持つのに対し、この装置は高さの異なる三本のラインアームを操作することで、香りと味わいのバランスを自在に調整できます。これにより、洗練された香りと濃厚な味わいを両立させた焼酎が造られます。
原料にも強いこだわりがあり、黒糖・米麹ともに国産原料を使用。かつては一部黒糖を海外産に頼っていた時期もありましたが、現在はすべて国内産に切り替え、将来的には奄美産100％を目指しています。焼酎の仕込みには蔵の地下水を使用し、自然の恵みを活かした酒造りが行われています。
また、焼酎の熟成にも力を入れており、原酒はじっくりと寝かせることで、黒糖焼酎本来の甘みと香りを引き立てています。代表銘柄「氣」「せえごれ」「天孫岳」などは、鹿児島県本格焼酎鑑評会や熊本国税局酒類鑑評会で多数の受賞歴を誇り、その品質の高さが広く認められています。
▶「株式会社西平本家」の歴史（年表）
1925年（大正14年）：
初代・西平守常氏が沖縄から奄美群島・喜界島に渡り、泡盛の製造を開始。これが西平本家の酒造りの原点となる。
1927年（昭和2年）：
奄美大島・名瀬に移転し、焼酎製造を本格的に開始。以後、奄美の地で黒糖焼酎造りを続ける。
1956年（昭和31年）：
法人化により「株式会社西平本家」として設立。伝統を守りながらも、近代的な経営体制を整える。
1970年代（昭和後期）：
黒糖焼酎の需要拡大に伴い、設備の近代化と品質管理体制の強化を進める。
2000年代（平成期）：
「氣」「せえごれ」「天孫岳」などの新ブランドを展開し、全国の焼酎ファンに認知を広げる。
2010年代（平成後期）：
黒糖や米麹の国産化を推進し、奄美産原料100％を目指す取り組みを本格化。
2020年（令和2年）：
焼酎の蒸留設備に「可変式三方弁」を導入し、香味のコントロール技術を向上させる。
2023年（令和5年）：
「八千代」や「氣」が各種鑑評会で受賞し、品質の高さが改めて評価される。
2025年（令和7年）：
創業100周年を迎え、奄美の伝統文化とともに歩んできた歴史を振り返る記念事業を展開。
Data
生産者：株式会社西平本家
住所：鹿児島県奄美市名瀬港町6-10
創業：1925年（大正14年）
TEL：0997-52-0171
URL： https://kokutou-shochu.com（株式会社西平本家公式サイト：直接注文可）
原料：黒糖、米麹（黒）
蒸留方式：常圧蒸留
アルコール度数： 30度
容量：360ml（瓶） 、 900ml（瓶）、1800ml（瓶）
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