りゅうぐう
2025.11.22
かめ仕込みが引き出すまろやかさ
黒糖焼酎『龍宮』は、奄美大島にある富田酒造場が造る本格焼酎で、黒糖焼酎の中でも特に高い評価を受けている逸品です。原料には、国産米と波照間島や多良間島などの高品質な黒糖を使用し、伝統的なかめ仕込みと黒麹による製法で丁寧に醸されています。この製法により、黒糖の自然な甘みとコクが引き出され、まろやかで深みのある味わいが特徴です。
「龍宮」は、香りが芳醇でありながらもすっきりとした後味を持ち、飲み飽きしないバランスの良さが魅力です。ストレートやロック、水割り、お湯割りなど、どんな飲み方でもその個性が際立ち、食事との相性も抜群です。特に、和食や島料理との組み合わせでは、素材の味を引き立てながらも焼酎の風味がしっかりと感じられます。
また、富田酒造場は少量生産にこだわり、品質管理を徹底することで、安定した味わいを保っています。地元の自然環境と職人の技が融合した「龍宮」は、奄美の風土を感じさせる焼酎として、全国の焼酎ファンから支持されています。黒糖焼酎の魅力を存分に味わえる一本として、初心者から通まで幅広くおすすめできる焼酎です。
■飲み方あれこれ!!
お湯割り：
黒糖のやさしい甘みと香ばしさがふわりと立ち上がり、まろやかで包み込まれるような味わいに。寒い季節には特に心と体を温めてくれる飲み方です。
ロック：
氷で冷やすことで香りが引き締まり、黒糖のコクとキレのある後味が際立ちます。ゆっくりと氷が溶けるにつれて味の変化も楽しめるのが魅力です。
前割り：
あらかじめ水で割って寝かせることで、アルコールの角が取れ、よりまろやかで一体感のある味わいに。食中酒としても優秀で、料理の味を引き立ててくれます。
▶「有限会社富田酒造場」のこと
「有限会社富田酒造場」は、奄美大島に根ざした伝統的な黒糖焼酎の蔵元であり、創業以来70年以上にわたり、甕仕込みによる焼酎造りを守り続けています。
「富田酒造場」は、1951年（昭和26年）11月1日、アメリカ統治下にあった奄美大島・名瀬の蘭舘山の麓にて、初代・富田豊重氏によって創業（※）されました。当初は「らんかん酒造場」としてスタートし、奄美群島最大の繁華街・屋仁川通り近くに位置するこの地で、昔ながらの甕（かめ）仕込みによる焼酎造りを始めました。
⇒初代・富田豊重氏によって創業（※）
〇奄美大島がアメリカの統治下にあった当時、黒糖は関税や為替の問題で島外に出荷しにくく、地元経済は困窮していました。そこで、地元の黒糖を活用し、島内で消費できる焼酎を造ることで、地域経済を支えようとしたのが創業の背景です。蔵の背後にある「らんかん山」は、かつてアイルランド人技師が白糖工場建設のために滞在していた洋館があったことから名付けられたとされます。この地に蔵を構えたことも、歴史的な縁を感じさせるエピソードです。
この蔵の最大の特徴は、創業当時から使用されている540リットルの大甕32個を用いた全量甕仕込みです。一次仕込みから二次仕込みまでをすべて甕で行う蔵は非常に珍しく、甕ごとの風味の違いや手入れの手間がかかるにもかかわらず、あえてこの伝統的手法を守り続けています。甕は焼酎に独特の厚みと芳醇な香りを与え、土の香りを含んだ深い味わいを生み出す重要な要素とされています。
焼酎造りには、国産のうるち米を使った黒麹を用い、奄美市の原生林・金作原を水源とする軟水を仕込み水と割り水に使用しています。一次仕込みでは酒母を甕で1週間かけて育て、二次仕込みでは黒糖を加えてさらに2週間発酵させます。その後、蒸留・熟成を経て、39～44度の原酒を丁寧に貯蔵していきます。
また、「富田酒造場」は、黒糖焼酎の文化的価値を世界に発信する役割も担っています。黒糖焼酎は、奄美群島でのみ製造が認められており、米麹と黒糖を原料とする独自の製法が2024年、ユネスコの無形文化遺産にも登録されました。高温多湿な気候の中で安定した発酵を実現するために、米麹のクエン酸が重要な役割を果たしており、これは日本独特の酒造技術として高く評価されています。
代表銘柄には「龍宮」「まーらん舟」「かめ仕込」「らんかん」などがあり、いずれも甕仕込みならではの深みとキレのある味わいが特徴です。生産量は年間400石ほどと少量ながら、その品質と個性は多くの焼酎愛好家から高く評価されています。
▶「有限会社富田酒造場」の歴史（年表）
1951年（昭和26年）：
初代・富田豊重氏が奄美大島名瀬の蘭舘山の麓にて「らんかん酒造場」として創業。米麹と黒糖を原料とする黒糖焼酎の製造を開始した。創業当初から甕仕込みを採用し、伝統的な製法を守り続けている。
1970年代（昭和40年代後半）：
屋仁川通り近くの繁華街に位置する蔵として、地域に根ざした焼酎造りを展開。540リットルの大甕を使った全量甕仕込みが蔵の象徴となる。
1990年代（平成初期）：
代表銘柄「龍宮」が誕生。甕仕込みによる芳醇な香りと深い味わいが評価され、全国の焼酎愛好家に知られるようになる。
2000年（平成12年）：
法人化に伴い、社名を「有限会社富田酒造場」に改称。伝統を守りながらも、品質向上とブランド力強化に取り組む。
2010年代（平成後期）：
黒糖焼酎の文化的価値が再評価される中、ユネスコ無形文化遺産登録に向けた活動にも関与。奄美の風土と焼酎文化の発信に力を入れる。
2020年代（令和初期）：
代表銘柄「まーらん舟」「かめ仕込」などが高評価を得て、少量生産ながらも全国的な人気を確立。伝統的な甕仕込みを守る希少な蔵として注目を集める。
Data
生産者：有限会社富田酒造場
住所： 鹿児島県奄美市名瀬入舟町7-8
創業： 1951年（昭和26年）
TEL：0997-52-0043
URL： https://www.kokuto-ryugu.co.jp （富田酒造場公式サイト）
URL：https://tomitashuzojo.kurakara.jp （公式オンラインショップ）
原料：黒糖、米麹（黒）
蒸留方式： 常圧蒸留
アルコール度数： 30度
容量： 300ml（瓶）、900ml（瓶）、1800ml（瓶）
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