「喜界島酒造株式会社」の創業は1916年（大正5年）。杜氏・石川すみ子氏が旧喜界村赤連に「石川酒造所」を開設したのが始まりです。当時、喜界島では自家用の焼酎造りが盛んに行われており、石川氏は島内の酒造所で技術指導を行うなど、地域の焼酎文化の発展に大きく貢献しました。その後、1967年に「石川酒造株式会社」となり、1973年には現在の「喜界島酒造株式会社」へと社名を変更。1978年には蔵を現在の場所に移転し、焼酎造りの体制をさらに強化しました。

焼酎造りにおいて「喜界島酒造」が最も大切にしているのは、自然の恵みを活かした丁寧な製法です。主原料となる黒糖は、自社栽培のサトウキビをはじめ、沖縄産や海外産の高品質な黒糖を厳選して使用。麹にはタイ米を用いた白麹を採用し、発酵中は30分から1時間おきに温度や状態を細かくチェックするなど、徹底した管理体制が敷かれています。

仕込み水には、蔵から約2キロ離れた山間部の地下30メートルから汲み上げたミネラル豊富な天然硬水を使用。この水は隆起サンゴ礁の地層を通って湧き出るもので、麹や酵母の発酵を促進し、焼酎に深みのある味わいを与えます。ただし、瓶詰め時にはアルコールの刺激を抑えるため、軟水化処理を施した水を使用するなど、細部にまでこだわった製法が特徴です。

蒸留には昔ながらの常圧蒸留法を採用し、原料の風味や旨味を最大限に引き出します。さらに、製品化される焼酎はすべて最低1年以上の熟成を経た原酒を使用。中には3年以上熟成させた「三年寝太蔵」や、樫樽で長期熟成させた「キャプテンキッド」（※）など、古酒の魅力を堪能できる銘柄も揃っています。

「喜界島酒造」は、「喜びの島が育む 喜びの酒」をモットーに、国内外への販路拡大にも力を入れており、韓国や台湾、東南アジア、ヨーロッパなどへも輸出を展開。モンドセレクション金賞や全国酒類コンクール特賞など、数々の受賞歴がその品質の高さを物語っています。