バッファロートレース蒸溜所は、アメリカ合衆国ケンタッキー州フランクフォートに位置する、アメリカ最古の蒸溜所のひとつで、200年以上にわたってバーボンウイスキーの生産を続けている。

始まりは1773年、マカフィー兄弟とハンコック・テイラーがフランクフォート地域を調査したことから始まります。1775年、二人はその地で酒造りを開始し、1792年にはハンコックの弟であるリチャード・テイラーが、「オールド・テイラー・ハウス」を建設した。この頃はまだ石造りで平屋という簡素な蒸溜所にすぎませんでしたが、現在もバッファロートレース蒸溜所の敷地内に現存しています。

1811年にはベンジャミン・ハリソン・ブラントンが蒸溜所を本格的に建設しましたが、1857年にはダニエル・スウィガートが蒸溜所を買収。小規模ながら当時では最新の蒸溜所を建設し、商業的規模でのウイスキー造りを始めた。その後は時代とともに「オールド・ファイヤー・カッパー（OFC）」、「ジョージ・T・スタッグ」、「シェンレー」、「ブラントン」、「エンシェントエイジ」と蒸溜所の名前は変わっていきました。1870年にはE.H.テイラー・ジュニアによる近代化と拡張が行われました。

1920年、アメリカで禁酒法が制定されると（1920～1933年施行）、バッファロートレース蒸溜所は薬用としての蒸留を許可された蒸溜所のひとつとして操業を続けました（全米で4か所）。禁酒法が解除された後、蒸溜所は本格的にウイスキー造りを再開し、1992年にはサゼラック社によって買収されました。1999年には、蒸溜所の名称をエンシャントエイジ蒸留所から現在のバッファロートレース蒸溜所に変更。「バッファロートレース」という蒸留所名を冠したボトルが発売される。

現在も、伝統的な製法を守りながらも革新的なアプローチを取り入れ、ウイスキー造りを続けている。「バッファロートレース」の製法には、独自のマッシュビル（穀物の配合比率）を採用。当蒸溜所製造のプレミアムバーボンと同じマッシュビルを使用している。このマッシュビルは、一般的なバーボンに比べてコーンの比率が非常に高いことが特徴となっている。具体的には、トウモロコシ80%、ライ麦10% 、大麦10%で、この配合によりバーボンに甘みとフルーティーさが加わり、ライ麦がスパイシーさを提供してくれる。

蒸留器はバーボン用のビアスチルとダブラー1セットの他、ウォッカを製造する連続式蒸留機やケトルと呼ぶ巨大な単式蒸留釜もあり、多種多様のウイスキー、スピリッツ造りを可能にしている。さらに、異なる段階での熟成や実験的な樽の使用など、多様な熟成技術を取り入れています。熟練の職人による厳選されたバレルの選定や、使用する原料の特徴にもこだわり、高品質なバーボンを生産しています。

主要ブランドは「バッファロートレース」や「ブラントン」、「エンシェントエイジ」、「イーグルレア」、「ヴァンウィンクル」など。バッファロートレース蒸溜所は、その長い歴史と伝統を守りながらも、革新的な製品開発を行い、世界中のウイスキー愛好家から高い評価を得ています。