ベアード・ブルーイング 黒船ポーター

Baird Brewery Kurofune Porter

2026.01.15

深くて長い余韻ポーターの真骨頂

ベアード・ブルーイングの代表作のひとつ『ベアード・ブルーイング 黒船ポーター』は、静岡・伊豆のブルワリーが掲げる“バランス・複雑さ・個性”という理念を体現した、クラシックかつ奥行きのあるポーターです。スタイルとしてはロブストポーターに分類され、アルコール度数は6.0%、IBU(※)は35。使用される麦芽はフロアモルテッド・マリスオッターを中心に、キャラメル、チョコレート、ブラックモルト、さらにローストバーレイが加わり、深いロースト香と豊かなボディを生み出しています。ホップはペレットやエキスを使わず、生ホップのホールフラワーのみを使用するというこだわりも特徴です。

⇒IBU(※)とは?

〇IBUとは、ビールの「苦味の強さ」を数値化した指標で、「International Bitterness Units(国際苦味単位)」の略です。ホップ由来の苦味成分「イソアルファ酸」の量を数値化したもので、数値が高いほど苦味が強い傾向にある。ただし、感じる苦味=IBUだけで決まる訳ではなく、モルトの甘味、アルコール度数、ボディの厚みなどが苦味の感じ方を和らげたり強めたりする。

目安となるIBUの範囲

●ラガー(ピルスナー):

IBU⇒20~40(すっきり、過度な苦味)

●ペールエール:

IBU⇒30~50(バランス型)

●IPA:

IBU⇒40~70(しっかりした苦み)

●ダブルIPA:

IBU⇒60~100+(強烈な苦み)

●スタウト:

IBU⇒30~60(ロースト感で苦みがマスクされることも)

グラスに注ぐと、漆黒に近い深いブラウンの液色に、きめ細やかな泡が静かに立ち上がります。香りはチョコレートやコーヒーを思わせるローストアロマが中心でありながら、焦げ感が突出せず、むしろ“シルクのようにスムーズ”と表現される柔らかさが印象的です。口に含むと、ほろ苦さとほのかな甘みが折り重なるビタースウィートな味わいが広がり、飲み込んだ後には心地よい余韻が長く続きます。力強さと軽快さが同居するため、濃色ビールでありながら重たさを感じさせません。

「黒船」という名は、19世紀に日本へ来航したアメリカの軍艦を指す言葉に由来し、同時期に英国で人気を博したポーターというビアスタイルとの歴史的なつながりを示しています。ベアードの創業者ブライアン・ベアードが初期に手がけたレシピのひとつであり、長い年月をかけて磨き上げられながらも、その根幹となる味わいは変わらず受け継がれてきました。

クラフトビールの多様性と奥深さを象徴するような一本であり、飲むたびに新しい発見をもたらしてくれる、まさに“個性あるポーター”と呼ぶにふさわしいビールです。

■飲み方あれこれ!!

飲み頃温度:

10~13℃位で。最もバランスが良く、黒船ポーターの魅力が自然に開く温度帯です。冷たすぎるとロースト香が閉じ、温かすぎると苦味が強調されるため、この帯が最も調和的。

おすすめのマリアージュ:

● ローストチキン:

ロースト香と麦芽の香ばしさが共鳴。

●照り焼きチキン:

醤油の甘辛さがポーターの軽い甘味と調和。

● 焼きナス・炭火焼き野菜:

焦げの香りとロースト麦芽が美しくリンク。ベアードのクリーンな後味が野菜の甘味を引き立てる。

● ソーセージ(特にハーブ系):

肉の旨味とローストの苦味が心地よい対比。ハーブの香りがホップのアロマと重なる。

▶「合資会社ベアード・ブルーイング」のこと

「合資会社ベアード・ブルーイング」は、2000年にブライアン・ベアード氏と妻のさゆり氏によって静岡県沼津市で創業された、日本のクラフトビール黎明期を象徴するブルワリーである。創業当初は「沼津フィッシュマーケット・タップルーム」を併設した小規模醸造所としてスタートし、30L規模の極めて小さな設備で丁寧な手造りのビールを提供していた 。2003年には250Lシステムへ拡張し、瓶商品の販売を開始。これを機に東京市場へ進出し、「合資会社ベアード・ブルーイング」の名は全国へ広がっていく 。

その後、タップルームの多店舗展開や海外輸出を進めながら、2014年には伊豆市修善寺に大規模な農園型ブルワリー「ベアード・ブルワリーガーデン修善寺」を開設。自然豊かな環境の中で、よりスケールの大きな醸造とホスピタリティを両立させる拠点として機能している 。現在では東京・横浜を含む複数のタップルームを展開し、日本のクラフトビール文化を牽引する存在となった 。

「合資会社ベアード・ブルーイング」のビール造りの特徴は、創業者夫妻の「ビールへの深い愛情」と「伝統への敬意」を軸にした哲学にある。彼らは“ビールを祝福する”というモットーを掲げ、人生の豊かさをビールとともに分かち合うことを目指している 。醸造においては、モルト・ホップ・酵母といった原材料をできるだけ加工せず、素材の個性を最大限に引き出すことを重視。特にホップはフロアモルテッド麦芽やホールフラワーホップ(生ホップ)を使用し、煮沸終盤に大量投入することで、スパイシーかつフルーティなアロマを際立たせている。また、多くの銘柄でドライホッピングを採用し、熟成中にも生ホップを加えることで、漂うように豊かな香りを生み出している 。

さらに、敷地内の地下水を用いた醸造や、自然な発泡を活かす最小限の処理など、クラフトマンシップに満ちた工程が特徴的だ。大量生産では失われがちな“ビール本来の個性と威厳”を取り戻すことを使命とし、複雑で奥行きのある味わいを追求し続けている 。

こうした哲学と技術の積み重ねにより、「合資会社ベアード・ブルーイング」は日本のクラフトビール文化を支える象徴的存在となり、多くのブルワーやファンに影響を与え続けている。

▶「合資会社ベアード・ブルーイング」の歴史(年表)

2000年(平成12年):

静岡県沼津市にて、ブライアン・ベアード氏と妻のさゆり氏が「ベアード・ブルーイング」を創業。30L規模の極めて小さなマイクロブルワリーとして醸造を開始し、併設の「沼津フィッシュマーケット・タップルーム」で提供を始める。

2003年(平成15年):

醸造設備を250L規模へ拡張し、瓶商品の販売を開始。これにより沼津以外の地域でもベアードビールが流通し始め、東京市場への進出が進む。

2000年代後半(平成期):

輸出を開始し、国内外での認知度が上昇。東京・横浜を中心にタップルームの多店舗展開が進み、ベアードビールのファン層が拡大する。

2014年(平成26年):

静岡県伊豆市修善寺に大規模な農園型ブルワリー「ベアード・ブルワリーガーデン修善寺」を開設。自然豊かな環境での醸造とホスピタリティを融合させた新拠点として稼働を開始する。

2010年代後半〜2020年代(平成〜令和):

関東・関西を含む複数のタップルームを展開し、国内クラフトビール文化の発展に大きく寄与。ベアード出身のブルワーが新たなブルワリーを立ち上げるなど、業界全体への影響力が強まる。

Data

製造元:合資会社ベアード・ブルーイング

住所:静岡県伊豆市大平1052-1

創業:2000年(平成20年)

TEL:0558-73-1199

URL:https://bairdbeer.com/ja/(ベアード・ブルーイングオ公式サイト、通販可)

スタイル:ロバスト・ポーター(上面発酵)

原料:麦芽、大麦、ホップ、糖類、酵母

アルコール度数:6.0%

内容量:330ml

 

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