ボルス オード・ジュネヴァ

Bols Oude Genever

2026.02.03

モルトワインが生む芳醇でまろやかな味わい

『ボルス オード・ジュネヴァ』は、オランダの蒸留文化を象徴する伝統的なジュネヴァ(オランダとベルギーを中心に造られる伝統的蒸留酒)であり、現代のジンとは一線を画す独自の個性を持つスピリッツです。最大の特徴は、穀物を発酵・蒸留してつくる“モルトワイン(※)”を贅沢に使用している点で、このモルトワインが深いコク、まろやかな甘み、そしてウイスキーにも通じる穀物の芳醇な香りを生み出しています。ジュニパーの存在感は控えめで、ボタニカルの爽やかさよりも、穀物由来の丸みや厚みが前面に出る味わいが魅力です。

⇒モルトワイン(※)とは?

〇大麦・ライ麦・トウモロコシなどの穀物を発酵させ、低度で蒸留したスピリッツのことをいい、アルコール度数は一般的に 50〜55%前後。ロンドン・ドライジンでは、ニュートラルスピリッツ(無味無臭)がベースとして使われますが、ジュネヴァでは穀物の香りや旨みをしっかり残すため蒸留度をあえて低くして、ウイスキーの“ニューメイク”に近く、豊かな穀物感と甘みが特徴となっています。“Wine” といってもブドウ酒のことではなく、 「発酵液を蒸留したもの」=蒸留ワイン という意味で使われています。歴史的な呼び方がそのまま残っているだけで、味はワインとは無関係です。

モルトワインは、ジュネヴァの個性を決める最重要要素で、

・ まろやかさ、甘み、厚みのあるボディを生む

・ジュニパーの香りよりも、穀物の風味が前面に出る

・ウイスキーのようなコクと、ジンのボタニカルが共存する独特のスタイルを作る

といった特徴があり、特に「オード(Oude)」と呼ばれる伝統的スタイルでは、 モルトワイン比率が高く、よりリッチで芳醇な味わいになります。

口に含むと、柔らかく広がる甘やかなニュアンスとともに、しっとりとした質感が感じられ、後半にはほのかなスパイスと穀物の旨みが余韻として続きます。ストレートやオンザロックでは、その複雑で奥行きのある風味がじっくりと楽しめ、カクテルに使えば、他のスピリッツでは出せない重厚さと深みを加えてくれます。特にオールドファッションドやコリンズ系のアレンジでは、伝統的な味わいが際立ち、クラシックな雰囲気を演出します。

ジンのルーツを感じさせる歴史的なスタイルでありながら、現代のカクテルシーンでも存在感を放つ一本。穀物の豊かな風味と滑らかな口当たりを楽しみたい人にこそふさわしい、味わい深いスピリッツです。

■飲み方あれこれ!!

ストレート(またはロック):

冷やしたグラスにそのまま注ぎ、穀物由来の甘みと柔らかな口当たりをじっくり味わう。ロックにすれば香りがゆっくり開く。

ジュネヴァ・トニック:

氷を入れたグラスにジュネヴァを注ぎ、トニックウォーターで満たして軽くステアする。レモンピールを添えると穀物の甘みが引き立つ。

オード・オールドファッションド:

グラスに角砂糖と少量の水、ビターズを入れて潰し、ジュネヴァを注ぐ。氷を加えてゆっくり混ぜ、オレンジピールを絞って香りを添える。

▶「ボルス・ロイヤル・ディスティラリーズ」のこと

「ボルス・ロイヤル・ディスティラリーズ」は、1575年にアムステルダムで創業した世界最古級の蒸留所として知られ、オランダの蒸留文化そのものを象徴する存在です。創業者ルーカス・ボルスの名を冠し、17世紀のオランダ黄金時代にはすでに国際的な交易網を背景に、スパイスやボタニカルを使ったリキュールや蒸留酒を多数生み出していました。

特にジュネヴァの製造においては、オランダ国内で確固たる地位を築き、後に世界へ広がるジン文化の源流を形づくる役割を果たしました。19世紀には王室から「ロイヤル」の称号を授与(※2)され、品質と伝統を守る蒸留所としての評価が確立します。現在は「Lucas Bols N.V.」のもとで運営され、伝統を継承しながら現代的な技術も取り入れ、世界中にジュネヴァ文化を発信し続けています。

⇒王室から「ロイヤル」の称号を授与(※2)

〇816年、オランダ王室はボルスの品質と功績を認め、蒸留所に “Royal(ロイヤル)” の称号を授与しました。 これは王室御用達の証であり、蒸留所としては極めて名誉ある称号です。 以後、正式に「ボルス・ロイヤル・ディスティラリーズ」と名乗ることが許され、ブランドの威信がさらに高まりました。

ジン造りの特徴として最も重要なのは、ジュネヴァの核となる“モルトワイン”の存在です。大麦・ライ麦・トウモロコシなどの穀物を発酵させ、低度で蒸留することで、穀物の旨みと香りをしっかり残したベーススピリッツを得ます。「ボルス・ロイヤル・ディスティラリーズ」では、このモルトワインを伝統的な銅製ポットスチルで丁寧に蒸留し、複数のバッチをブレンドすることで、まろやかで奥行きのある味わいを生み出しています。これはニュートラルスピリッツを主体とする現代ジンとは大きく異なる点で、ジュネヴァが“ジンの祖先”と呼ばれるゆえんでもあります。

さらに、ジュニパーベリーをはじめとするボタニカルの使い方にも特徴があります。現代ジンのように強烈なジュニパーの香りを前面に押し出すのではなく、モルトワインの穀物感を引き立てるように控えめに調整され、全体としてウイスキーに近い丸みと、ジンらしい爽やかさが共存する独自のスタイルを形成します。特に「オード(Oude)」と呼ばれる伝統的スタイルでは、モルトワイン比率が高く、よりリッチで甘みのある味わいが特徴です。

「ボルス・ロイヤル・ディスティラリーズ」は、こうした伝統的な製法を守りながらも、現代のカクテル文化に合わせた表現を追求し続けています。ジュネヴァを単なる歴史的スピリッツとしてではなく、現代のバーシーンで活躍する個性豊かなベースとして再評価させた点も大きな功績です。長い歴史と革新性を併せ持つ蒸留所として、今なお世界のスピリッツ文化に影響を与え続けています。

▶「ボルス・ロイヤル・ディスティラリーズ」の歴史(年表)

1575年:

アムステルダムのピールステーフ通りでボルス家が蒸留所を創業し、薬草酒やリキュールの製造を開始する。これが「ボルス・ロイヤル・ディスティラリーズ」の起源となる。

17世紀:

オランダ東インド会社(VOC)との関係により、世界中のスパイスやボタニカルが入手可能となり、蒸留技術とレシピが飛躍的に発展する。ジュネヴァの基礎がこの時期に確立される。

1664年:

ルーカス・ボルスが事業を拡大し、ジュネヴァやリキュールの製造を本格化させる。アムステルダムの蒸留文化を牽引する存在となる。

18世紀:

ジュネヴァがオランダ国内で広く普及し、ヨーロッパ各地へ輸出される。ボルスは国際的ブランドとしての地位を固める。

1816年:

オランダ王室から「ロイヤル(Royal)」の称号を授与され、品質と伝統を守る蒸留所として公式に認められる。以後「ボルス・ロイヤル・ディスティラリーズ」の名が確立する。

19世紀後半:

蒸留技術の近代化が進み、銅製ポットスチルによるモルトワイン製造が洗練される。ジュネヴァの品質がさらに向上し、世界的な評価を得る。

20世紀前半:

世界大戦や禁酒法などの影響を受け(※3)つつも、ボルスはリキュールとジュネヴァの製造を継続し、伝統レシピを守り抜く。ブランドの国際展開が進む。

⇒世界大戦や禁酒法などの影響を受け(※3)

〇20世紀には、第一次世界大戦、第二次世界大戦、アメリカ禁酒法など、酒類産業にとって厳しい時代が続きました。 それでもボルスは伝統レシピを守り抜き、製造を継続。 特に禁酒法時代には、合法的な薬用酒としての需要を確保し、ブランドを存続させたという逸話があります。

1950〜1970年代:

カクテル文化の広がりとともに、ボルスのリキュールが世界中のバーで使用されるようになる。ジュネヴァも再評価され、蒸留所の存在感が高まる。

2006年:

「Lucas Bols N.V.」として再編され、ブランドの近代化と世界市場への再進出が加速する。伝統と革新を両立させる経営体制が整う。

2010年代:

アムステルダムに「House of Bols(ハウス・オブ・ボルス)」を開設し、蒸留の歴史とカクテル文化を体験できる施設として世界的な注目を集める。ジュネヴァの伝統を現代に伝える役割を担う。

Data

生産者:ボルス・ロイヤル・ディスティラリーズ(ルーカス・ボルス N.V)

生産地: オランダ王国アムステルダム市

創業:1575年

URLhttps://www.lucasbols.com (ルーカス・ボルス N.V公式サイト)

原料:ライ麦・トウモロコシ・小麦を発酵させたモルトワイン、ボタニカル(ジュニパーベリー)

蒸留方式:銅製ポットスチル(2回蒸溜)

アルコール度数: 35%

容量:1000ml(瓶:以前は陶器ボトルでしたが2002年より現在のガラス瓶に移行。ただし現在も陶器のものも弱冠流通しており、「ボルス オード・ジュネヴァ ジャグ」という商品名で販売されている。)

 

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